第五十二話 偽りの華麗
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。とりわけ悪質です」
クリューガーもそれに同意する。
「ですから我々もまた」
「そうだ。しかしだ」
カールがここで言った。
「彼等は何故あそこまで不遜なのか」
「選民思想だ」
マイヨは彼等に対してこう述べてみせてきた。
「選民思想ですか」
「そうだ。かつての我々がそうだったようにだ」
「ギガノスと」
「ギルトール閣下は意図してはおられなかったが」
彼の考えはまた別だったのだ。
「結果としてそうなっていた。我々もな」
「我々もまた」
「優れた者だけが生きる」
ギガノスの思想だった。
「それは結果としてグラドスと同じなのだ」
「そうなのですか」
「自覚はしていませんでしたが」
「しかしだ」
マイヨはまた言う。
「かつての我々ですら。あそこまでは」
「その通りです」
「彼等はまた」
プラクティーズの面々もまた。グラドスに対しては激しい嫌悪感を見せるのだった。
「我等は一般市民には銃を向けませんでした」
「ところが彼等は」
「そうだ」
マイヨが最も嫌悪感を感じていたのはそこだった。
「私が剣を向けるのは常に戦士に対してだけだった」
「その通りです」
「だからこそ我々は大尉殿を」
慕っているというのだ。ギガノスの蒼き鷹は武人だったのだ。
「済まない。今度のロンドンの戦いは」
「激しいものとなるでしょうか」
「間違いなくな」
彼はそう読んでいた。
「覚悟はしておいてくれ」
「はっ」
「わかりました」
三人はマイヨのその言葉に頷く。そのうえで酒を飲むのだった。その横ではアズラエルが得体の知れない気色の悪いものをオルガ達三人と食べていた。
「おい、旦那」
カチーナがその彼に声をかける。
「その食い物何だ?」
「クスハさんの料理でして」
「・・・・・・そうか」
それだけでもうわかるのだった。
「何でも山羊の肉を特別にアレンジしたそうです」
「山羊を!?」
「そうです」
一見すると山羊には見えなかった。ラグクラフトの小説に出て来るような物体だったのだ。料理にも見えないところがまた恐ろしかった。
「山羊に色々かけて作ったそうで」
「色々か」
「その詳しい内容は私も憶えていないのですよ」
クスハだけが知っていることだった。
「ですがこの味は」
「美味いか」
「かなりのものです」134
アズラエルの味覚もかなりのものである。
「一度食べると病みつきになりますよ」
「・・・・・・そうか」
「貴女も如何ですか?」
ここでカチーナにも勧める。
「是非共」
「いや、あたしはいいさ」
しかしカチーナは戦場での勇敢さをここでは見せなかった。
「遠慮しておくよ」
「そうですか」
「ああ。悪いな」
口ではこう言うが実際は違っていた。
「またな」
「蛸もありま
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