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サロメ
第二幕その十
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はお忘れなきよう」
「くっ」
 王は何も言えなかった。そのまま部屋を後にする。
 他の者もそれに続き灯りが消えていく。ナラボートも兵士達もそれを見ていたがやがて王に続いた。後に残るは王妃とサロメだけであった。
「サロメ」
 王妃は暗くなった部屋の王妃の座で一人座ってサロメを見ていた。
「そなたは女になった。それを覚えておくのじゃ」
 彼女はその言葉を聞いてはいなかった。ただヨカナーンの首をその手に抱いて笑っているだけであった。その笑みは狂気の笑みであった。しかしそれと共にこの世のものとは思えぬ美を映し出していたのであった。


サロメ   完


               2007・3・8

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