第二幕その八
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はありませんか。サロメ」
にこやかな声で娘に対して述べる。
「よくぞ申した。何というよい娘じゃ」
「そなたがそそのかしたのか」
王妃をきっと見据えて問う。
「そなたが」
「母上の御言葉ではありません」
サロメは立ち上がってそう王に返す。その顔も身体も毅然としたものと妖しいものがある。その二つに魔性を漂わせていた。
「あくまで私の楽しみの為に」
「馬鹿な」
王はその言葉を遮ろうとする。
「何故だ。何故ヨカナーンの首を」
「誓ったではありませんか」
「確かにそうじゃ」
それは王も認める。
「しかしじゃ。それでも」
王はそれを何とか否定しようとする。
「他のものでは」
「何故拒まれるのですか?」
王妃は王のその言葉を阻もうとする。
「誓われたではありませんか」
「それでもじゃ」
王はそれでも言う。
「それだけはならん。何があってもじゃ」
「また無粋な」
「違う」
その顔には王としての威厳はなかった。ただひたすらそのことを拒もうとする、そうした顔であった。
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