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サロメ
第二幕その七
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第二幕その七

「それは」
「違うのはわかっている。どうにもな」
 花を受け取りながら述べる。
「済まぬ。明るい席じゃな」
「はい」
「ではサロメよ」
 あらためてサロメに目をやる。
「よいな」
「はい。それでは」
 畏まって一礼する。そうして応える。
「準備を」
「うむ、わしとて王だ」
 その誇りはあった。
「カパドシアのあの王は嘯いてばかりおるがわしは違う。何があろうとも自分の言葉の奴隷となり約束は守るぞ」
 これだけは事実であった。彼も王としての誇りがあるのだ。
「では行くがいい」
 そうサロメに告げる。
「すぐにな」
「わかりました」
 サロメはそれに頷く。静かだが妖しい笑顔で姿を消すのであった。
 一旦は姿を消したサロメ。しかし王の不吉な気持ちは変わらなかった。
「まだ何か」
「やはり妙じゃ」
 王妃に答える。
「この感触。胸騒ぎが止まらぬ」
「ではどうぞ」
 杯を差し出してきた。
「飲まれれば変わります」
「気分転換をせよと申すのか」
「何を困られることがあります?」
 そう王に問う。
「不安なものは何もないというのに」
「いや」
 しかしその言葉に首を横に振る。
「あれを見よ」
 そう述べて窓を見やる。
「赤い月じゃ。おかしいとは思わぬか?」
「さて」
「先程まで白かったというのにじゃ」
 しかしこれは違っていた。赤い月に見えているのは王だけである。他の者達は皆白い月に見えていたのである。それが違っていたのだ。
「あの赤い月を見ているとどうにもな」
「御気にされ過ぎなだけです」
「そなたは何も見ても同じじゃな」
 思わずそう呟いた。
「困ったことじゃ」
「困ったことにはならぬでしょう」
 王妃はうっすらと笑みを浮かべてきた。
「あの男がここにいるのよりは遥かにましです」
「またそれか」
 その言葉に顔を苦くさせる。
「どうしてもか」
「どうしてもです。何があろうとも」
「諦めよ」
 王はそう告げた。
「気にせずにな」
「それは陛下もです」
 またしてもサロメのことに言葉を及ばせてきた。
「おわかりですか?」
「わからぬな」
 憮然とした顔でとぼける。
「どうにも」
「陛下」
 しかしここで従者がやって来て王に告げてきた。
「王女様の御用意ができました」
「おお、いよいよか」
 その言葉に顔を綻ばせる。しかし。
「いや」
 急にその綻んだ顔を暗くさせてきた。
「待て」
「どう為されました?」
「いやな」
 自分だけに聞こえるような言葉で呟いた。
「どうにも。やはり」
 述べながら手にしている酒を飲む。
「どうするべきか」
「御義父上」
 しかしそこにサロメがやって来た。素足で身体の上に七枚
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