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EP.6 過去と現在と未来
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ルーシィ、と名乗った女が俺に尋ね、答えると、彼女は落ち込んでしまった。
「どうしよう……ホントに過去に来ちゃったみたい、私たち……」
「そのようだな……ん? ナツとグレイはどうした?」
「え!? ホントだ……てか、ハッピーもいないし!」
ハッピーっていうのは……あの猫(?)の事なのか?
「その2人と1匹なら、ルーシィさんが話しているときにどっかに行きましたよ」
「は!? あいつらぁ……、ここまで馬鹿とは思わなかったぞ!!」
「なんで止めなかったのよ!? ていうか“さん”って……」
「いや、だって……」
未来のエルザはすごい剣幕で怒り、ルーシィさんも俺に詰め寄ってきた。
「もう接触してるから今更かもしれないですけど……一応未来から来たんだったらあんまり関わらない方がいい、って思ったから……」
「ああ、そっか。タイムパラドックスね」
ルーシィさんは納得したみたいだった。
“さん”付けの理由? 俺はギルドの仲間以外の年上の人間には基本的に敬語を使うようにしている。
ルーシィさんは未来の仲間かもしれないけど……今の仲間じゃないからな。
「じゃあ、俺はこれで……帰れるといいですね」
未来のエルザは何か言いたそうだったが、俺は振り返らずにギルドに入った。
SIDE OUT
「何か言わなくて良かったの、エルザ?」
ルーシィはワタルがギルドに入るのを見送った後、エルザにそう尋ねた。
エルザの表情は少し悲しげだったが……笑って言った。
「アイツは私が何か言った所で、考えを変えるような軟弱者ではないさ。それに……帰ればまた会える。なら、今何か言う必要はないさ」
「そう……そうね!」
エルザが答えると、ルーシィは納得したようで、明るく言った。
「ありがとう、ルーシィ」
「ん? 何か言った、エルザ?」
「いや、何でもない。……さあ、あの馬鹿共を探してきてくれ、私は本の解読をする」
「分かったわ! じゃあ……」
「待て!」
そう言ってルーシィと話すエルザはいつも通りの様子で、ルーシィは安心した。
ただ、いつも通り過ぎてバニーコスにさせられて、着ていた服を捨てられた事には……流石に頭を抱えたが。
SIDE ワタル
さて、ギルドに入った俺は、マスターに仕事の報告をした後、開いている席に座って食事をしながら考え事をしていた。
――過去に行ける魔法、か……。
もちろんある程度の制約は付くのだろうが……それでも考えてしまった。
過去に行って、あの事件を変えられたら……と。
だが、すぐにその考えは否定した。
――何を馬鹿な。
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