第十七話 甲子園にてその八
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「フランス語でね」
「そういえばフランス語っぽい響きね」
「そうでしょ」
「ええ、確かに」
「膝までのズボンって意味だったらしいけれど」
「今は膝よりも短いけれどね」
「とにかくね。ズボンだから」
景子はこのことは断った。
「スカートじゃないわよ」
「そうだったのね」
「琴乃ちゃんどっちかっていうとズボン派でしょ」
「動きやすいからね」
それでだというのだ。
「まあ。キュロットはズボンだとは今まで思わなかったけれど」
「さっきあたしと話したのは」
「動きやすいって意味でね」
それで言ったというのだ。
「だからだったけれど」
「そうだったんだな」
「そうなの。けれど」
ズボンだったとは認識していなかったというのだ。
「そうだったのね」
「というか半ズボンだろ」
美優はこう返した。
「キュロットはどう見ても」
「ううん、前スカートみたいになってるのあるじゃない」
「それで間違えたってんだな」
「そうだったの、それでもこれでわかったから」
もう問題はないというのだ。
「じゃあもう少ししたら甲子園に行こうね」
「今日は勝ってくれるかしら、阪神」
里香は不安そうな顔で粒やいた。
「本当にね」
「わからないわね、ちょっと」
「打たないから、最近」
里香にとっても辛いことだ、琴乃の言葉を受けながらこうも漏らす。
「三点か四点でいいのに」
「あまり多くないけれど、それだと」
「阪神のピッチャーだったらそれ位で充分だから」
「圧勝じゃなくてもいいの」
「私接戦が好きなのよ」
これが里香の好みの試合だった。
「一点差で勝つっていうのがね」
「投手戦で?」
「派手に打ち崩すよりもね」
「そっちの方が好きなのね」
「そうだけれど」
「けれど今の阪神ってその三点、四点も取ってくれないから」
接戦でも負ければ何の意味もない、だからこそ里香は非常に困った顔になってそれでこう言ったのである。
「一点や二点じゃね」
「二点や三点に抑えてもなのよね」
景子も腕を組み暗い顔になって溜息を出した。
「負けるからね」
「数学って残酷なのよ」
里香はまた言った。
「何よりもシビアに結果、答えが出るからね」
「嫌な話ね。けれどね」
「普通二点、三点に抑えてくれたら上出来でしょ」
「強いチームはそれで勝てるわよね」
「打線がそれだけ打ってくれればね」
里香はとにかく打線には最低限の仕事だけを求めていた、派手に打つ打線はあまり望んではいないのである。
それでこんなことも言うのだった。
「あのスタープラチナのね」
「マシンガン打線ね」
彩夏が言う。
「あの娘いつもカウンターに看板かけてるけれどね」
「マシンガン打線復活ってね」
「切れ目なく打って
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