第五幕その二
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でしょうか」
「それだけなのか?」
「もうそれで充分の筈です」
そう答えて伯爵の耳から離れる。
「それでは」
「待ってくれ、まだ聞きたいことがある」
「もうそれで充分過ぎる筈です。それでは」
「くっ」
オスカルは素早く客達の中に姿を消してしまった。伯爵は舌打ちしてしまったがどうにもなるものではなかった。止むを得なく彼の残したヒントを頼りに王を探すのであった。
伯爵が王を探す中、華やかな服と仮面の人々が朗らかに笑いながら舞踏と美食に明け暮れる。だがその中で一人思い悩む様子の男がいた。胸に薔薇色のリボンがあり黒いマントを羽織っている。
彼は何かを悩んでいた。しかしその何かまではわかりはしない。彼にしかわからないものであった。
「いないのか」
辺りをチラリと見て呟いた。そこで後ろから声がかかってきた。白い絹のドレスにそのドレスと同じ色のドミノを着けた優雅な雰囲気の女性であった。
「まさかこんなところに」
彼女はその薔薇色のリボンの男を見て思わず声をあげそうになったのだ。そして慌てて彼の側に寄って来た。
「もし」
「その声は」
薔薇のリボンの男にもそれは誰かわかった。咄嗟に声がした方を振り向く。
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