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EP.5 幼き想い
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…ギルドのモンも見習って欲しいものじゃな、その姿勢。物を壊し過ぎじゃ、アイツら……」
「ハハハ、じゃあ行ってきます」
少し雑談をしたのち、マカロフは評議員からの書類を振ってため息を吐き、ワタルは苦笑して荷物を持ってギルドを出て行こうとした。
「ああ、少し待て」
「……何ですか?」
マカロフに呼び止められたワタルは振り返り、尋ねた。
すると、マカロフはニヤッと笑って言った。
「なんでエルザの初仕事に付き合わなかったんじゃ?」
「……何でそれを聞くんですか?」
「なーに、年寄りの冷や水と思ってくれ。……何故じゃ?」
興味本位だ、と言うマカロフに、ワタルは少し考えると言った。
「なんで、って言われても……俺よりもここの仕事に詳しい人が行った方がいいし、それに……」
「ほう、それに?」
続きを促したマカロフに、ワタルは困って頬を掻くと続けた。
「ここに来て一週間になりますけど……エルザ、俺以外とは喋ろうとしないんですよ。ここはエルザが望んだギルドなんですから、せめて俺以外と話せるようにはなれって考えたんですけど……、どうしたんですか?」
ワタルが答えると、マカロフは少し考え込んでいた。それをワタルが尋ねると、
「……ふむ、おまえさん、エルザを無意識に遠ざけようとしとらんか?」
「は? ……そんなことないと思いますけど……」
マカロフの問いに、ワタルは少し面喰って答えた。
「……ならいいわい。仕事、頑張れよ」
「……はい、行ってきます」
ワタルはマカロフの問いに少し違和感を覚えたが、気を取り直して仕事に行こうとした。
「ギルドはわしらにとっては家族じゃ。それはお前も変わらん。よく覚えておけ」
「……分かりました。ありがとうございます、マスター」
マカロフがワタルの背中に掛けた言葉が届いたかどうかは、マカロフには分からなかった。
SIDE ワタル
――家族、か……
列車に乗って依頼主の方に向かっている俺はマスターの言葉を考えていた。
家族――それは俺にとって失ったものだ。失ったから旅を始めた……いや、始めなければいけなかった。
俺の出自は大陸の西部ではあまり縁起の良いものではない。旅の途中では町の人間にはいい顔をされなかったし、時には追い出されたこともあった。
エルザと会ったのは、そんな生活に慣れてきた頃だった。偶々出会った彼女はひどく傷付いていて、正直見過ごせなかった。
見つけて治療したのは、見過ごせなかった、で説明できる。でも……
――なんで旅まで一緒にしたのか……。
そこが俺にはよく分からなかった。女の子が1人で旅するの
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