原作開始前
EP.5 幼き想い
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、と思って恥ずかしかったけどワタルの顔を見ると、呆れたようながっかりしたような表情を浮かべていた。
私はショックを受けて寮に帰って寝込んでしまった。
ワタルのバカ……。
SIDE OUT
= = =
右目が完治したエルザはその翌日、漸く、初仕事に出る事にした。
もちろん初仕事は昨日の挽回のつもりで、ワタルを朝食中に誘ったのだが……ワタルは右手一本で器用に食べながら断った。
当然エルザは理由を聞いた。
「何故だ?」
「だから……言ってるだろ。別にお前と行くのが嫌って訳じゃない。でも、初仕事は妖精の尻尾の習慣とかあるかもしれないから、それをよく知ってる人と行くべきだって」
「ワタルは知らないのか?」
「完全に知ってる訳じゃない。今も勉強中だよ……そういう訳だから、カナ! 頼む!」
「えっ……わ、私!?」
「ああ、グレイでもいいが……同性の方がエルザも緊張しないで済むだろ?」
「お、おい……勝手に決めるな!」
同席していたカナは困惑し、エルザも抗議した。もう一人同席していたグレイは我関せずのようだ。
因みにグレイやカナとは、ギルド内で年が近いこともあり、特に怪我をしている今は一緒に仕事に出ることが多く、必然的によく話すようになったのだ。
「なら、エルザはこれから毎日ずっと俺と過ごすつもりか? ギルドにいる以上それは無理だ……っておい、どうした?」
「毎日、ずっと!? いや、そんな……でも、ワタルが言うなら……」
ワタルの言葉の前半を聞いたエルザは顔を真っ赤にしてショートしてしまった。
「……えい」
ピンッ!
「痛っ! 何をする!」
「でこピン。後、それはこっちの台詞だ。……体調でも悪いのか?」
「……大丈夫だ」
「そうか……って何だ、お前ら」
エルザとの問答を終えたワタルはグレイやカナの視線が白いものに変わった事に気付いた。
「別に……」
「エルザも大変ねぇ……仕事、行く? 」
「あ、あぁ……頼む」
結局カナの方からエルザに申し出て、エルザがそれを受けて初仕事に行った。
「なんか、釈然としない……」
「自分の行動を振り返れよ」
「……お前に言われたくないわ、半裸」
「あれぇ!?」
もう当然のようにパンイチになっているグレイにワタルは何時ものように指摘すると、クエストボードに向かって歩いて行った。
――ま、これで少しは打ち解けられるといいんだけどね……。
「マスター、この仕事行きます」
「おう……チューリィ村の時計塔の掃除か。……しかし、お前さんもよくコツコツやっとるのぉ」
「まあ……怪我が治るまでは大人しくしときます。忍耐も修行ですから」
「…
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