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FAIRY TAIL 星と影と……(凍結)
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EP.5 幼き想い
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たが、他ならぬエルザに止められた。
 
「……何故だい?」
「私は……もう半分の涙は流しきっちゃったから……」
 
 エルザは赤い顔で泣きながら、でも笑いながらそう言った。
 ポーリュシカは、彼女が「半分の涙は流しきっちゃった」と言う程に辛いことがあったのだろうと察し、それ以上は何もせず、何も言わなかった。
 
――願わくば、彼女の未来が幸せ溢れる物でありますように……
 
 ポーリュシカにはただ祈る事しかできなかった。
 想い人……ワタル、といったか? 彼とこれからの未来を幸せに過ごせますように、と……。
 
 
 
 
 SIDE エルザ
 
 ポーリュシカさんに目を治癒してもらい、マグノリアに帰る森の中で、私は考えていた。
 
 ジェラールは、その後ろ姿を見ていることしかできなかった。彼は誰よりも前にいたから、私もそれで良かった。
 
 でもワタルは違う。彼は私の横で歩いてくれる。隣に居るとどこまででも歩いて行けそうだ。それに一度、彼の夢を見た時は心地良く、とても安心した。
 ……そういえばその時は間近で寝起きの顔を見られたんだった、と思い出し、今更ながらに赤面した。
 
 
 ……一度だけ、ワタルに旅の理由を聞いた事がある。
 その時の彼は悲しい顔をしていて、私にはそれが自分に近いように感じて、不謹慎だけど何故か嬉しかった。
 魔導士として、私が目標にしている彼は遠いところにいるけど、それが近くに感じて、その矛盾が何だか嬉しい。
 彼の隣に居たい、と思うのは……私の我儘なのだろうか?
 そして、今日は私の目を治してくれるように頼んでくれた。見えなかった右目はあの塔の忌まわしい記憶の象徴で、それが消えた時は嬉しくて涙が出た。
 そして……その治療を頼んだのはワタルだ、とポーリュシカさんに言われた。
 何故、と思う前に、“想い人”か、と問われた。……隣に居たい、と言う気持ちを恋と呼ぶなら、ワタルは私の……お、お、想い人、ということになるな。うん。
 ……そういえばお礼を言うように言われたっけ、と思考を切り替えようとして思い出していると、妖精の尻尾の前に着いていた。考え事をしていると時間が経つのが速く感じるな……。
 
 
 ギルドに入ってワタルの背中を見つけた。でも……ここからどう話しかければいいのだろうか? 先ほどの考えが頭の中をグルグルと回っていた。そんな事を考えていたからだろうか……
 
「お……エルザ、目、もう治ったんだな」
 
 ワタルの方から話しかけてきた。
 急に話しかけられて、心臓が大きく脈打ち、顔が熱くなっていくのが自分でも分かった。
 
「あ、ああ……ワ、ワタル……その……目の事、ありがとう」
 
 ああ、口ごもってしまった! 伝わったのだろうか
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