原作開始前
EP.4 模擬戦 VS 妖精の尻尾
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の瞬間、忍者刀の効果で上がった身体能力によって力強く地を蹴って跳んだ。
「何っ!? どこに……!?」
グレイには、あまりのスピードにワタルが消えたように見え、驚いて周りを見た。
――右、いない! 左もいない! なら……
「上か!? アイスメイ……グアッ!」
「いい反応だが……遅い!」
グレイはワタルが氷の盾の上を跳んだ事に気付き、魔法を使おうとしたが……それより早くワタルの踵落としが肩に入り、怯んでしまった。
続いてワタルはグレイの腹を、足の裏で突くように蹴って吹き飛ばした。
「グッ……なかなかやるな」
「どうも……お前の造形魔法もなかなか素速いじゃないか」
「ハッ、そりゃどうも……それと“お前”じゃない。“グレイ”、だ」
「……そうだな、グレイ」
似たような掛け合いに、両者ともにやりと笑った。そして……
「ハァアアアアアアアア!!」
「シッ!」
グレイは叫び、ワタルは短く息を吐きながら同時に地を駆け、距離を詰めた。
――いつまで手を抜いているつもりなんだ、ワタルは……。
一方、エルザは不満を抱いていた。
何度かワタルと模擬戦をしていたエルザは、グレイと殴り合いを演じている彼が本気でない事に、とっくに気づいていた。
「なかなかやるな、あの新人」
「ああ、グレイはウチの期待のルーキーだ。それと互角なら……」
観客の真っただ中にいたエルザは、その声に反応して声を張り上げた。
「互角なものか……ワタル! いつまで手を抜いているつもりだ、本気でやれ!!」
「いつまで手を抜いているつもりだ、本気でやれ!!」
響いたエルザの声に、ワタルは頭を掻いた。
「あーあ、ばれちゃった」
「お前、本気じゃなかったのか!?」
グレイは、手を抜いて戦っていたワタルに対して怒りの声を挙げた。
それに対して、ワタルは拳をバキバキと鳴らしながら答えた。
「まあな……流石に始めから本気だとつまらないし、な」
「なんだと!?」
「まあ、準備運動はこんなものでいいだろ。……ここからは本気、だ!」
「なに……ッ!?」
本気だ、と言ったその次の刹那、ワタルは既にグレイの懐にいた。
グレイはそのスピードに驚いて、腹に力を入れたが……
「無駄だ……“魂威”!!」
バチッ!
「ガハッ!?」
ワタルの、直接魔力を放出させる“魂威”は、鋭い音と共にグレイの腹に炸裂し、その防御を無視して5mほど吹き飛ばした。
グレイは……そのまま起き上がれずに呟いた。
「グ……イッテェ……ホントに本気じゃなかったんだな……」
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