風と火
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ユイは木が少し少ない広場のような場所の手前で停止した。その先には赤い翅の男のサラマンダー三人が一人の女のシルフにランスを構えている光景があった
「あれ?あれ?」
キリトはそんなことを言いながらとまりきれずそのシルフとサラマンダーの間に突っ込んだ
「うう、いてて……。着陸がミソだなこれは……」
見物するだけのつもりだったがキリトが出てしまったので俺も姿を見せる
「馬鹿だろキリト……着陸ぐらい練習しておけ」
「何してるの!早く逃げて!!」
シルフの女の子が叫んだ。……なぜ?と思ったが自分の姿を思い出した。そういえば初期装備だったな。キリトは右手をポケットに突っ込むとそこにいる全員を見渡し、口を開いた
「重戦士三人で女の子一人を襲うのはちょっとカッコよくないなぁ」
「何だとテメエ!!」
俺はとりあえずキリトを一発殴る
「何をする」
「馬鹿かおまえは……ストレートに喧嘩売ってどうするんだ。少しずつ、追い詰めるのが楽しいんだろ。俺の楽しみを奪うな」
「ああ……すまん」
やられた経験を持つキリトは顔色を青くする
「そっち!?」
シルフの女の子が突っ込んでくる。……いいタイミングだ。グッジョブと親指を立てているとサラマンダーの一人が苛立ったように声を発する
「初期装備でノコノコ出てきやがって馬鹿じゃねぇのか。望みどおりついでに狩ってやるよ!」
サラマンダー達はシルフの女の子の牽制に一人残し、二人がこちらにランスを向けて突進してくる
「相手の力量も読めないような奴に負けるとでも?」
キリトがランスの先を掴む。ガードエフェクトの光と音が響く。俺は剣を抜き、ランスの先を無造作に払う。重量はあちらの方が上だがスピードが桁違いにこちらの方が上だ。ランスを弾かれ、無防備な体に右手の拳を放つ
「ぐわっ」
吹っ飛ばされ木に叩きつけられるサラマンダー。そのまさに同じ場所にキリトはもう一人のサラマンダーを投げ飛ばした
「「ぐえっ」」
「ナイスピッチング」
いえーいとキリトとハイタッチ。その後キリトは剣を抜くと戸惑ったような表情で止まった
「ええと……あの人たち、斬ってもいいのかな?」
「……そりゃいいんじゃないかしら……。少なくとも先方はそのつもりだと思うけど……」
「それもそうか。じゃあ失礼して……」
俺もため息をつきながら構える。キリトはだらりと地面に垂らすあの独特の構え。俺は前に肩に担ぐように構える。そして、斬った。それしかいいようがない。俺たちにとってはそれが普通の速度だからだ。だが女の子の方を見ると唖然とした表情になっていた。二人のサラマンダーは赤い炎に包まれ直後に四散。その後には小さな残り火があった。女の子は
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