序章『始まりの物語』 第壱話『始まる』
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シヴァの顔はしかめられている。
≪(当たっている筈だが………全く手応えがない)≫
そう。突き刺した筈なのにトリシューラから伝わってくる肉を貫く感触や抵抗はあるのに………少しも魂が減っていないのだ。
シヴァ程になればその圧倒的な魂の量が意思一つで傷を片っ端から癒すのである。
矛先が抜かれた直後に傷口を癒しているであれば微量ながら魂の総量が減っていくのである。
だがしかし魔王のシヴァの数千倍もの量の魂は減っていないのだ。
≪つまり……これは!!≫
『気付くのが少し遅いね』
シヴァのすぐ後ろに魔王がたっていた。
だがシヴァの三叉戟には確かに未だ魔王が串刺しになっている。
≪(分身か?いや、此もあれもどちらも本物だ。ならば魂を分割しての分身か?いや、魂は初めから変わっていない)≫
コンマにも届かない超高速での思考。
『これは分身等ではないよ』
≪っ(思考を読まれた!?)≫
『別に思考を読んではいないよ。これは簡単な事だよ………別の平行時間軸から同存在を喚んで来ただけさ』
そう。<超越者>でもある魔王にはタイムパラドックスは通用しない。
平行世界の時間軸から自分を召喚しただけなのである。
どちらも本物だ。
『<神(シヴァ)>……僕の子よ。今のその力では僕に掠り傷すらつけられない』
魔王は左手をシヴァに翳すとその手に歪みが生じ、世界が歪む。
次元が崩壊しているのだ。あまりにも強大過ぎるその力に世界が耐えきれていないのだ。
『更なる<業(カルマ)>を抱いて次こそは………』
そしてその崩壊の引力にシヴァは吸い寄せられ、引きずり込まれた。
『僕を喰らい至れ』
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