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EP.2 ワタルの魔法
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の街があったから、そこの軍隊に引き渡す。話はそれから、だな」
「なんか……妙に手慣れてないか?」
「そうか?」
さっきの戦いぶりや、山賊たちを木に縛り付けているワタルに対し、少し疎外感を抱いたエルザだったが、次の一言で解消した。
「街に行ったら何か食べるか、エルザ?」
「……フフフ、この状況でそれを言うか、普通?」
「……それもそうだな」
的外れなワタルの物言いを可笑しく感じたエルザは笑い、初めは不満そうなワタルもエルザと一緒に笑った。
山賊たちが倒れている山の一角で笑い合う二人の姿は、なかなかシュールだったが、それでも楽しそうだった。
= = =
山賊たちをロープで木に縛り付け終えて、近くの街の軍隊に連絡した二人は、久しぶりに宿に泊まっていた。
あの山賊たちは町の悩みの種になっていたらしく、報奨金が出たのだ。
「それにしても、あのバシッって鳴るやつ……“魂威”、だったか? 私にも使えないのか?」
「……多分無理だろうな。魔力を拳に集中させるだけなら結構多くの魔導士ができるけど、“魂威”は魔力を集中させるんじゃなくて、放出させる技だからな。今じゃあ、使えるのは俺ぐらいの者だろうな」
魔導士は自分の魔力を能力系なら何かに具現させて、所持系なら物に纏わせて魔法を使う。だが“魂威”は魔力そのものを打ち出す技のため、特別な素質と精密なコントロールが必要とされるのだ。
だが、“魂威”には、そのデメリットに見合うだけのメリットがある。
その威力は高いし、今は修行中だが……打ち出した魔力を操る事が出来れば、さらに応用力の高い技に昇華できるのだ。
ワタルは、それを実際に実演して見せながらエルザに説明した。
「むー」
「ハハハ、むくれるなって。“換装”はたぶんお前とは相性が良いから教えられると思うよ」
エルザは“魂威”を気に入ったのか、使えないと知ると落ち込んだが……“換装”が使える、さらに相性が良い、と知ると目を輝かせてワタルに詰め寄った。
「本当か!? なら教えてくれ!」
「ああ、分かった分かった……。でも今日は遅いからまた明日、な」
「む、分かった。約束だぞ」
「ああ、約束だ」
すぐに始めようとしたエルザだったが、ワタルに諭されたため、約束をすると布団に入った。
そして……山賊との予期せぬ遭遇で疲れたのか、すぐに眠ってしまった。
「すーすー」
――もう寝ちゃったよ……あ、そうだ!
静かに寝息を立てるエルザに、ふと悪戯心が湧いたワタルは、エルザの頬を突いてみた。
思ったほど弾力があった彼女の頬に、楽しくなったワタルは突き続けた。
す
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