第三話「第八のカンピオーネ」
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俺――草薙護堂は現在、コロッセオの近辺にある丘の上に来ていた。
すでに深夜零時を過ぎているため、辺りは闇に覆われ静寂が支配している。
俺は隣を歩く女にジト目を送った。女は長い赤みかかった金髪に黒薔薇を模した造花を髪飾りにしており、簡素な長袖のシャツと黒の短パンを穿いている。ショールのような赤い布を羽織ったその女の名はエリカ・ブランデッリ・海堂。俺がここにいる原因を作った張本人だ。
昨日、急に電話がかかって来たと思ったら一方的に用件だけ告げて切るという、自分本位を素で行くような性格の女だ。普通なら嫌って当然なのだが、どうしてか憎めないのはエリカの性質なのだろうか。
「ところでいい加減ここに呼んだ理由を教えてほしいんだけど。もしかして神様の相手をさせるつもりじゃないだろうな?」
「そうと決まってはいないけど、その可能性もあるわ。……もしかして会ったの?」
「ああ、ついさっき街中でな。女神様だったぞ」
街中で出会った一人の少女。十三、四歳ほどの外見の可憐な顔立ちをした少女だった。
人の姿をしていたが彼女が人間でないのは一目で分かった。本能が訴えるというのだろうか、『宿敵』と遭遇したと直感が告げていた。
向こうは探し物があるらしく戦いを回避できたのは不幸中の幸いだったが。もし戦いにでもなったら街のど真ん中で大災害を引き起こしていたことになっていたからな。
「そう……なら急がないといけないわね。幸い目的地はすぐそこなのだし、着き次第に決闘を行うわよ」
「はぁ!? 決闘って、なんで俺が?」
「護堂の力を証明するためよ。今、向かっている先には古き魔術を継承する騎士団の幹部たちが集まっているわ。その人たちの前で力を見せるのよ。ゴルゴネイオンを草薙護堂に預けよとわたしが提案し、他の三人は護堂に力があれば承諾するという流れになっているわ」
「ゴルコネイオンってなんだ?」
「ゴルゴネイオン――貶められた女神の証。失われた地母の叡知にして闇へ至る道標。二ヶ月前にカラブリア海岸で発見された神代の遺物よ」
「あー、やっぱいい。聞きたくない。また神様関係なんだろ」
うんちくを始めようとするエリカの言葉を遮って耳を塞ぐ。もう厄介事はごめんだ。
「でも護堂はもう『まつろわぬ神』に出会っているのでしょう? いずれ戦う運命にある二人が引かれ合ったと思うのだけれど。今から知識を溜め込んでいた方が貴方のためじゃないの?」
「不吉なことを言うな。それより力の証明がなんで決闘になるんだよ」
「わたしたち騎士において決闘は最重要の儀式なのよ。持ちうる限りの技術と知識を競い合い、獅子の如く勇気でも
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