第三話「第八のカンピオーネ」
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「貴方の権能、確かに拝見させて頂きました。正直予想以上ですよ、草薙護堂」
「まだカンピオーネに成られて間もないのに、彼の王と渡り合えるとは。いやはや『王』の名に相応しい御力ですな。感服いたしました」
決闘が終わり、老人たちが口々に護堂を褒め称える。護堂は困ったように頬を掻きながら、賛辞を聞き流していた。
――まったく、愚かなものね。あれを見て護堂が蒼蓮と渡り合えると思えるだなんて。これで結社の総帥なのだから、世の中分からないものだわ。
蔑視の目で老人たちを一瞥し、傍らに佇む蒼蓮を見る。
「なにもあそこまでする必要は無かったのではないの?」
「いやー、はっはっはっ…………スマン。どうも血が高ぶると熱中してしまうんだよなー」
笑って誤魔化す夫に溜め息をつくが、これで護堂も上には上がいるというのがわかったことだろう。ないとは思うけど、サルバトーレ卿と引き分けたことで天狗になっていたのなら、これで少しは考え直すはずだ。
「しかし、あれが純粋な身体能力によるものだとは、相変わらず凄まじい御力ですな。今回は何割ほどの力をお出しになったのですか?」
護堂の隣にいた『紫の騎士』が興味深そうな目で王を見た。
「あら、『紫の騎士』殿はあれが蒼蓮の実力ではないと?」
「何を馬鹿なことを。あれのどこが本気だったというのだ。現に海堂様はご自身の二つ名である【創造】を一度たりとも使われていない。それに、私は実際に海堂様の戦いを目にしたことがあるのだ」
「そうだったわね」
『紫の騎士』はこの中でわたしを除いて唯一、蒼蓮の戦いを目にしたことがある人物。どの戦いだったかは知らないけれど、凄まじい戦闘だったのでしょうね。それを知っていればあの戦いが如何に手加減されたものだったかというのが窺える。現に護堂には五体満足ですもの。
「で、実際はどうなの?」
「うーむ……大体、〇・〇〇一五パーセントくらいか?」
「そ、それはまた凄いですね……」
顔を引き攣られる『紫の騎士』。相変わらず、うちの旦那様は規格外だわ。この人なら、全カンピオーネを同時に相手しても、鼻歌を歌いながら片手で一蹴できそうね。
「出来るぞ?」
――聞かなかったことにしましょう。
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