第三話「第八のカンピオーネ」
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回り込み胴体に腕を回してきた。
「おおお?」
そして、そのまま体を反らし、まさかのジャーマンを仕掛けてくる!
身体を丸めて地に手をつき衝突を回避した俺は、すかさず足を草薙の背に回して上空に投げ飛ばした。
「ははっ、今のは中々面白かったぞ草薙! もっと俺を楽しませろ!」
「この戦闘狂め! ならこれらなどうだ……! 主は仰せられた――咎人に裁きを下せと。背を砕き、骨、髪、脳髄をを抉り出し、血と泥とともに踏み潰せと! 我は鋭く近寄り難き者なれば、主の仰せにより汝に破滅を与えよう!」
言霊とともに草薙の呪力が膨れ上がるのがわかる。
「猪は汝を粉砕する! 猪は汝を蹂躙する!」
草薙の眼前の空間が裂け、巨大な何かがその姿を現した。
「おおっ! 今度は何だ! なにを見せてくれる!?」
現れたソレは巨大な黒い猪だ。天を轟かせる咆哮を上げ徐々にその巨体が迫ってくる。なるほど、俺を圧死させようという魂胆か!
「ふはははは! 面白い、面白いぞ草薙! 血沸き肉躍るとはまさにこのことだな! だが、家畜如きに後れを取る俺ではないわッ!」
――拳法、飛拳弾雨!
加速させた拳の数々が俺の上空で残像の弾幕を張る。上空の一面を拳のスクリーンが覆うと、迸る拳圧が唸りを上げ、迫る猪を迎え撃った。
「ふははははははははぁ! 今夜は牡丹鍋じゃあああああああぁぁッッ!」
落下する猪は拳圧の嵐に次第に速度を下げ、ついには空中で完全に停止すると徐々に巨体を持ち上げて行った。衝撃で小刻みに身体を震わせながら悲鳴にも似た咆哮を上げる神獣に草薙が目を丸くする。
「なんだそれ!? 反則だろ!」
「勝負に反則もクソもないわっ!」
――脚法、斬雲昇脚!
振り上げた足が空間諸共猪を切り裂いた。巨体を胴体から綺麗に二分された猪は断末魔の悲鳴を上げる暇もなく粒子となって消えていく。――って、やり過ぎた! 戦いになるとついヒートアップしてしまうんだよな!
空を見上げると「あぁああああ〜!」と声を上げながら落下してくる草薙の姿があった。あれは着地できそうにないな。
落下地点に回った俺は落下する草薙の後頭部に手を添えると、首の骨が折れないように指で固定しながら衝撃を受け流して地面に座らせた。
「エリカー! これ俺の勝ちでいいのー?」
「そうね。勝者、海堂蒼蓮!」
エリカの声にぞろぞろと観客がやって来る。草薙は地面に座ったまま呼吸を整えていた。
――うーむ、ちょっとやり過ぎた感があるな。……ま、いっか。早く帰ってシアとアンナのご飯食べよう。
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