第三話「第八のカンピオーネ」
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上げておりました、海堂様」
「御身をお呼び立てしてしまった無礼、お許しください」
「我ら一同、いかなる処罰もお受けする所存です。何卒、御身のお怒りは我ら三名のみに化出されますよう、ご寛恕を請いとうございます」
なんか凄いことを言ってるんだけど! この人たちって魔術結社の偉い人たちなんだよな。そんな人たちがここまで低頭するということはこの男、もしかして――、
「そうだ。俺もお前と同じく同業者だよ。まあ、俺の方が年季があるがな」
男がニヤッと笑うと隣にいたエリカの腰に手を回した。
「では名乗ろうか。察しの通り、お前と同じくカンピオーネの海堂蒼蓮だ。エリカの夫でもある」
「夫って……えっ、付き合ってるとかじゃなくて?」
「おうよ。籍こそ入れていないが、俺の嫁だ。まだエリカとの子供はいないから、今年中には一人儲けるつもりだ」
開いた口が塞がらないというのはこのことか。エリカ自身が明言したわけではないから確証は持てなかったけど、まさか恋人どころか結婚していたなんて……。確かによくよく見ると、エリカと並んだ姿は長年連れ添ってきた夫婦に見えなくもない。
「もう、蒼蓮ったら。なにもこんなところで言うことではないでしょう」
「しかし、隠すべきことでもないだろ。疚しいことなんて何もないんだ。堂々と胸を張っていればいい」
「そういえば、あなたってそういう男だったわね」
苦笑したエリカが男――海堂に身体を寄せた。なんか傍から見たらただのバカップルだよな……。
「あの、海堂様?」
「ん? おお、そういえばお前らもいたんだっけか。別に気にしてないから普通にしてな」
片膝をついたまま困惑した様子の三人に海堂が頷いた。
「はっ! では失礼して」
立ち上がる三人。海堂の手から離れたエリカが高らかに言い放った。
「さて、役者も揃ったことだし、そろそろ始めましょう。立会人はこのわたしが勤めるわ」
「わかりました。では我らはここを離れましょう。カンピオーネ同士が対決するのだ、距離を置いた方が良い」
『紫の騎士』の言葉に老人たちが間髪入れずに頷いた。刹那の間で、三人の姿がこの場から掻き消える。
「本当に消えたよ、大したもんだ」
「そんなに感心するほどでもない。少し齧れば出来るようになる術だ。五百メートルほど離れた場所にいるよ」
「わかるのか?」
「まあな。ちょっと探れば解ることだ」
「おしゃべりはここまでにしなさい。そろそろ始めるわよ」
エリカが俺たちから離れると、海堂も五メートル程距離を取った。
「二人とも、
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