第三話「第八のカンピオーネ」
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って果敢に戦い栄光と勝利を納める。古の時代から伝わる方法よ」
「まあ、決闘云々は分かった。で、誰と戦うんだ? もしかしてエリカとか?」
だとしたら勝てない自身があるぞ。俺には武道の心得はないし、エリカは剣の達人だ。アマチュアにも劣る俺がどうやってプロに勝てと?
エリカはクスクスと笑うと悪戯っ子のような笑みを浮かべた。
「安心しなさい、わたしではないわ。護堂にとってこの上ない名誉な人が相手よ。まあ護堂に限った話ではないけれど」
「名誉な人?」
誰だ? 俺の知り合いにそんな相手はいないし。
「もうすぐ分かるわ。――着いたわよ。ここが決闘の場である闘技場。かつてアウグストゥス帝が宮殿をかまえた場所の跡地」
そうこう話しているうちに視界が明け、広い空間へ出た。
かつては壮麗な城壁だったと思われる巨大な細長い壁と、横倒しになっている石柱に囲まれた緑の空き地だ。そこには三人の先客がいた。
老人が二人に青年が一人。彼らが事前にエリカが言っていた騎士団の幹部とやらだろう。
青年――『紫の騎士』とやらが一歩前に出た。
「はじめまして、草薙護堂。こうしてお会いできて光栄ですよ」
「はじめまして、草薙護堂です。色々と厄介な体質をしていますが皆さんに敬われるような人間ではありません。どうか普通に接して下さい」
「……これはご謙遜を。今の言葉だけでも貴方が一角ならない人物だと証明されますな。そのイタリア語は普通に習い覚えて習得されたものではありますまい」
「左様。それは『千の言語』。長年魔術を探求し、言霊の奥義を悟った者だけが習得できる秘奥。その年で使いこなす方は中々おりません」
そんなネタだったのか。俺がカンピオーネとやらに成ってからは外国語を聞いていれば自然と理解して会話出来るようになっていたため。便利な能力だと思っていたけどそんな凄いものだとは。
「それで、決闘をするとのことでしたが、俺の相手というのはどなたが?」
「安心しなさい。すでに――」
「ここにいるぞ?」
エリカの言葉を引き継いで俺の後ろから声がした。思わず勢いよく振り返ると、そこには黒い着物を着た同い年くらいの長身の男が立っていた。
――嘘だろっ!? 全然気配がしなかったぞ!
カンピオーネになってからというもの勘がものすごく働くようになり、今まで背後を取られたことなんて滅多になかったのに、こうも簡単に取られるなんて。しかも目と鼻の先くらいの距離だぞ……!
男が醸し出す得体の知れない雰囲気に戦慄いていると、エリカを除いた三人が一斉に片膝をついた。
「お待ち申し
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