第二話「赤い悪魔のお嫁さん」 ※
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ローマに着いた俺たちは『無意識の選別』を解除して空港を出る。そういえば待ち合わせ場所を聞いてなかったなと、今更ながら思い出した俺は既知の気配を探りながら移動していた。
「ご主人様、どちらに?」
「今、それらしい気配を探しているところなんだが――おっ、懐かしい気配を発見!」
気配のした方向に向かってみると、見覚えのある黒髪を見つけた。
「アンナ!」
俺の姿に気が付くとパァっと顔を輝かせて走り寄ってくる。
「蒼蓮さん!」
俺も走り寄り、その華奢な身体をギューッと抱きしめた。アンナの髪に顔を埋めて懐かしい香りで肺胞を満たす。
「ん〜! 懐かしいアンナの香りだ〜。いやー、久しいな。元気にしてたか?」
「はい! 私もエリカさまも元気一杯です! 蒼蓮さまもおかわりないようで」
「かわるはずがないさ」
彼女の名前はアリアンナ・ハヤマ・アリアルディ。俺の恋人であり嫁候補の一人だ。祖父が日本人のため日本人女性とほとんど変わらない容姿をしている。
一六〇センチほどの身長に楚々とした雰囲気の可憐な女の子だ。エリカの専属メイドでもある。
「シアさんもお久しぶりです」
「ええ、久しぶりね。元気そうでよかったわ」
「はい」
「アンナ」
「あっ……んむ、ちゅっ……ぴちゃぴちゃ……しょう、れんしゃん……」
顎を掴んで上を向かせると、唇を重ねた。目を白黒させたアンナだったが、次第に体の力を抜くと身を任せた。たどたどしく応える舌の動きがなんとも愛らしい。
「ちゅ……、はぁ……もう、いきなりなんて驚きますよー」
「いやー、久しぶりの再会だったものだから、ついつい。おかげでアンナ成分を摂取したぜ!」
もう、と困った顔をしながら満更でもない様子の彼女を強く抱きしめ、身体を離す。
「さ、エリカの元に案内してくれ」
「はい。お車をご用意しましたので、そちらにお乗りください」
その言葉に、俺とシアが一瞬硬直した。タラッと一滴の汗が額から流れる。
「も、もしかして、アンナが運転するのか?」
「はい、もちろんです」
にこやかに頷くアンナを尻目に瞬時にシアとアイコンタクトを取る。何を言いたいのか承知しているのだろう。間髪入れず頷いたのを確認した俺はアンナを説得しに掛かった。
「いや、アンナは日頃からエリカの身の回りの世話で疲れてるだろうから、代わりに運転するよ」
「え? ですがそれは――」
「まあまあ、俺からのささやかな気遣いだと思ってくれ。な?」
「ではご主人様、わたくしが運転
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