第二話「赤い悪魔のお嫁さん」 ※
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めこういう時は対処が楽でいい。
軽く触れた指先から電気を流す。すると、鍵は煙を噴かせながらランプが赤から緑へと点灯しロックが解除された。
「よし。おじゃまするぞ〜?」
「失礼いたします」
何事もなかったかのようにスタスタと中に入る俺たちの後ろでは、いいのかなぁ、とアンナが頻りに首を傾げていた。
やはりというか、エリカはダブルベッドの上で未だ夢の中のようだ。
仰向けで静かな寝息を立てているエリカは扇情的なネグリジェ姿。寝相が悪いため掛け布団を追いやり、その美しい肢体を外気にさらしていた。豊満な胸が呼吸に合わせて上下に動いている。
「相変わらずエリカは眠り姫だな」
「気持ち良さそうに寝ていますね」
やれやれと肩を竦める俺とクスクスと笑うシア。しかし、いつまでも寝かせるわけにもいかないのでそろそろ起きてもらうことにしよう。
「眠り姫を起こすのはいつだって王子のキスだって相場が決まってらぁな」
ただし、俺は意地悪な王子様だけどな。
人工呼吸をする時のように鼻を摘まんで鼻孔を塞ぐと唇を合わせる。隙間なく覆うように重ねているため、次第にエリカの顔がしかめ面になってきた。
――五、四、三、二、一……。
意識が覚醒したのを感じた俺は唇を離すと、重たい瞼をこじ開けて眠り姫が目を覚ました。
「ご機嫌いかがかな、眠り姫」
「……あまりよくないわね、王子様。次からはもっと優雅な起こし方をしてちょうだい」
「まあ、善処しよう」
重たい頭を持ち上げて上体を起こしたエリカは一つ伸びをする。いつの間にかコーヒーを淹れていたアンナが湯気が立ち上るコップを差し出した。
「どうぞ、エリカさま」
「ん。ありがとう、アンナ」
「蒼蓮さんとシアさんもどうぞ」
「おっ、サンキュー」
「ありがとうございます」
芳醇な香りが鼻孔を擽る。やっぱりアンナの淹れたコーヒーも美味しいな。コーヒーはブラックに限る。
「んで? そろそろ俺を呼んだ理由とやらを教えてほしんだが?」
コーヒーを飲んで眠気も覚めたエリカがその碧眼を俺に向けた。
「あら、理由がないと逢ってはいけないのかしら?」
「んにゃ、大歓迎さ。けれどさっさと用事を済ませたほうが気兼ねなく嫁さんとイチャイチャできるだろう?」
そう言うと、エリカはフッと微笑んだ。
「それもそうね。わたしも久々に逢った夫とのデートを満喫したいし」
「おっ、そりゃいいな。久々にデートと洒落込むか! で、俺の手を借りたいってことだけど、何をすればいい?
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