第二話「赤い悪魔のお嫁さん」 ※
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しましょう」
「おお、頼むわ」
トントン拍子で話を進めていく俺たちに困惑した様子のアンナ。アンナの背を押してそのまま押し通すことにした。
「……仕方ありませんね。それではシアさん、お願いしていいですか? 案内は私がしますので」
しょうがないな、とでも言うように苦笑するアンナにシアが笑顔で応える。
「はい、任せてください」
アンナの先導の元、高級ベンツが静かに路道を走る。シアの腕前は中々のものであり車内の震動はあまりない。そのため快適な時間を過ごせた。
これがアンナの運転だと思うと、朝に食べたものをリバースしかねない。彼女は運転がとにかく荒いのだ。無駄にドリフトなどするものだから震動が半端ではないし。
車に乗車してから三十分が経ち、午前八時半を回った頃。俺たちはとあるホテルにやって来た。いかにも高級感溢れるホテルである。
「お待ちしておりました」
随分と高齢のドアマンに先導され中に入る。
俺を知っているのか、ズラッと二列で並んだスタッフ一同が一斉に低頭した。
『いらっしゃいませ、海堂様! アレイシア様!』
支配人と思われる恰幅の良い男がペコペコと頭を下げながら前に出た。
「ようこそお越しくださいました海堂さま! 私、支配人のリカルドと申します。海堂さまにお会い出来て私、感激の――」
「エリカの部屋は?」
「は、はい! 最上階の三号室です!」
「ん、ありがと」
口上をぶった切り、エリカの部屋を聞き出した俺は申し訳なさそうに頭を下げるアンナと、相変わらずのニコニコ笑顔を浮かべるシアを連れてエレベーターに乗る。
アンナが不安そうに聞いてきた。
「あの、いいんですか? リカルドさん、あんなに歓迎してくれてましたのに」
「ああ、いいのいいの。どうせ俺に気に入られようっていう魂胆なんだろうし。大抵はどこも同じような対応をしてくるのよ、ああいう輩は」
「はあ、そうなんですか」
「そうなんですよ。だから、ああいうのは無視してりゃいいんだよ。――着いたぜ」
最上階の六十階に着く。赤い絨毯を踏みしめながら長い廊下を歩き、目的の部屋へとたどり着いた。
「三号室……ここだな」
インターホンを押すが反応がない。これは、
「寝ていますね」
「だな」
「エリカ様がすみません……」
「なに、あいつが朝に弱いのは今に始まったことじゃないし、アンナが気にすることじゃないよ」
申し訳なさそうに肩を落とすアンナの頭を撫でて、鍵に手を伸ばす。最近のホテルは電子ロック式なた
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