第一話「会合」
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も皆目見当がつきませんが。ゴルゴネイオンは古き地母の徴。ヴォバン公爵なら古き女神との死闘に興味を示すかもしれませんが、『まつろわぬ神』から免れるためにバルカンの魔王を招き入れたとあっては元も子もない」
確かに、かの魔王なら都市の一つや二つを簡単に壊滅させてしまうだろう。そこに一切の躊躇は微塵もないのは火を見るよりも明らかだ。
――うちの王も似たようなものだけど、まだわたしたちの言葉を聞き入れてくれる分はマシね。
「ではどうする。ほかに頼るべき王がいるのかね?」
頃合と感じたわたしは静かに口を開いた。
「頼るべき王はいます。とある小さな島国で生まれた、新たな神殺しが」
「草薙護堂!」
【雌狼】の総帥が唸るような声を上げた。
「最も新しき王、八人目のカンピオーネ。わたしは彼を選びます」
「草薙護堂。近頃聞くようになった名だな。しかし、所詮は噂にすぎない。信憑性のない話を鵜呑みにするわけにはいかないな」
「グリニッジの賢人議会が作成したレポートは私も読んだ。彼の者が倒したとされる神……俄かには信じられないのだが」
否定的な声を上げる老人たち。そんな二人にわたしは微笑みかけた。
「では、この情報はご存じでしょうか。サルバトーレ卿が不在の理由を。他でもない草薙護堂と仕合い、傷の療養のために不在なのです。今から半月前の夜に二人の王は刃と拳を交わし、死闘を尽くしました。ともに深手を負いましたが、幸い草薙護堂は快癒しています」
「馬鹿な! 草薙護堂がサルバトーレ卿と引き分けただと!? 卿は三つも権能を所有しているのだぞ! 対して草薙護堂は一つ、勝負にならんはずだ!」
その言葉にわたしは軽い失望の念を覚えた。
「世迷いごとを仰いますのね。彼の王たちは神を殺めその力を簒奪した方々。人の身で神に勝利した、その名の通り『カンピオーネ』なのですよ。数字の上での戦力差がどこまで意味を持つのでょう」
ぐぅの根も出ない老人に冷めたい目を向ける。『紫の騎士』が代わりに口を開いた。
「一つ伺わせて頂きたい。あなたは我々や賢人議会も知らないカンピオーネの決闘を知っている。どこでその情報を知ったのだ?」
「簡単です。わたし自身があの決闘の立会人だからです。あの方はいずれ名のある王へと上り詰めることでしょう。ヴォバン侯爵やサルバトーレ卿に匹敵するほどの魔王に。その未来に備えてわたしたちはあの方と友好を築いておくべきだと思うのです」
「ほう……『赤き悪魔』たる君がそこまで肩入れするとは、末恐ろしい人物のようだ。もしや、すでに草薙護堂とは浅からない関係なのかね?」
それを耳にした途端、わたしは
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