第4話 ゲーム
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眠は、本来必要とはしない」
しかし、涼しい顔……。いや、それまでと変わらない表情でそう答える長門。確かに、彼女が何らかの人工生命体ならば、それでも不思議ではないと思いますが。
まして、俺に取っての睡眠は、非常に重要な行為では有るのですが……。
いや、俺から霊気の補充を受けて居る以上、現在では彼女に取っても重要な行為と成っている、が正解ですか。
「それに、わたしも同じ部屋で眠れば問題ない」
そして、美少女の姿形を持つ存在から言われると、ある意味、漢の浪漫と言うべき台詞を口にする長門有希。
再び、場を支配する沈黙。
俺が、彼女を見つめ、彼女が俺を見つめ返す。
……成るほど。矢張りこの娘は、他人との接触の経験がないのか、それとも、自らの能力に自信が有って、俺が暴挙に及んだとしても軽くあしらえると思っているのか。
もしくは、自らの姿形が、人類としては女性形の、それもかなりの美少女姿で有る事を知らずに居るのか。
俺はため息に似た息をひとつ吐き出した後、コタツの対面側に座る長門の隣に移動する。そして、
「なぁ、長門さん」
名前を呼ばれた事と、突然、自らの傍に移動して来た俺に反応する為に、座布団の上に正座したままの長門は、やや上目使いに俺を見上げる。
そのメガネ越しの冷たい、しかし、とても綺麗な瞳に、思わず怯む俺。
但し、何故、そして、何処に怯まなければならないのか、その理由は判らないのですが。
「ひとつ、ゲームをしようか」
しかし、怯んでばかりはいられない。そう思い、自らを鼓舞し、彼女の左隣に腰を下ろしながら、生来の能力を使用して、自らの能力の強化を行う。
そう。彼女……長門が気付いていないようなので、実地で教えるしかないでしょう。
俺と言う存在の異常さと、俺の前では、人工生命体の彼女でさえ、普通の女の子となんら変わりがないと言う事実を。
俺は式神使い。それも、真名や契約で縛るタイプの召喚師では有りません。つまり、その気になれば、力づくで相手をねじ伏せて支配する事も可能な能力を持っている、……と言う事を。
実際、俺が連れている式神と俺が正面から戦えば、まず間違いなく俺が勝利しますから。
コクリとひとつ首肯く長門。これは、肯定の意味でしょう。それならば、
「これから俺が、オマエさんの頭を撫でようとする。せやから、長門さんは、それを全力で阻止して見せてくれ」
俺のゲームのルール説明に、少し考えるような間の後、コクリとひとつ首肯いて答える長門。
つまり、それが戦闘開始の合図、と言う事で有った。
豁然。長門の周囲に霊力の渦が巻き起こる。
それは未だ、行き場の定まっていない霊気の渦。
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