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ヴァレンタインから一週間
第4話  ゲーム
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俺に取っては非常に有り難い申し出。
 しかし……。

「女の子の一人暮らしのトコロに転がり込む事は出来ない」

 本当ならば、跳び付きたい申し出なのですが、しかし、俺の小市民的倫理観と言うヤツが、その申し出に対して否と唱える。

 無言で俺を見つめる長門。しかし、彼女が発して居る雰囲気が、別の感情を指し示している。
 確かに、相手が少女の姿をした存在でなければ、喜んで申し出を受け入れるのですが……。
 しかし、だからと言って、現在の俺が借りられる宿はネットカフェ程度。……いや、よくよく考えてみると、俺の持っている日本円が確実に通用するとは限らなかったか。
 ここが日本語の通用する世界だからと言って、俺が持っている日本円と同じ紙幣が、確実に流通している保障は何処にも有りませんでした。

 対面に座る長門を見つめる。正直に言うと、今の俺には八方塞がりで、手段がない状態。少なくとも、俺の持っているお札が使用可能かどうかを彼女に問いたいのですが、それを聞くには、最初に彼女の申し出を断る事が前提では、非礼にも程が有りますから……。

「わたしへの気兼ねなら必要はない。それに、貴方に救われなければ、わたしは既に消えていた」

 俺の視線に対して、彼女に相応しい口調と雰囲気で、そう話し掛けて来る長門。
 まして、この異世界に流された状態から俺が何時、故郷に帰られるのか判らないのは事実。それまでの間、この心許ない活動資金では流石に問題が有ります。

 ならば、選択肢はないと考えるべきですか。まして、現在の状況を説明して、信用してくれる相手はいないでしょう。そもそも、俺が異世界からの漂流者だと言ったトコロで、誰も信用はしてくれないと思います。
 突如、何もない空間から落ちて来た俺の姿を、最初から見ていた彼女以外は。

「そうしたら、何時までに成るかは判らないけど、帰る目処が立つまで長門さんのトコロに厄介に成っても構わないか?」

 俺の言葉に、それまでと同じように、無言で首肯く長門。ただ、少し、陽に属する気を発して居るような気がします。これは、おそらく彼女が、俺に生命を救って貰えた事に対して、かなりの感謝の念を抱いていると言う事なのでしょう。

 俺の方は、ただ、俺の為すべき事を為しただけなのですが……。
 これはつまり、情けは人の為ならず、と言う事なのでしょうね。


☆★☆★☆


 ハルファスを召喚して、この部屋の主人長門との簡単な夕食。
 ソロモン七十二の魔将の一柱。魔界の兵站を担う魔将ハルファス。ソロモン七十二の魔将第四席にして、魔界の大伯爵。悪霊の二十六個軍団を率いる女性型の式神。俺の式神の中でも、戦闘能力で言うのなら、同じくソロモン七十二の魔将の一柱、アガレスと双璧の存在。

 金髪碧眼。見
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