第4章 聖痕
第45話 蒼き世界での邂逅
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片と成ってから消えて行く光と、その世界の中でじっと佇む水の少女を見つめていると、何かを感じるのですが……。
そう。何か、とても大切な事を忘れて仕舞っているような気がするのですが……。
「最後の術式。よく、俺の考えている術式を理解してくれたな」
俺の問い。但し、それは、水の少女を見つめて居られないから出た言葉。
少し、自分自身の心の在り様を偽る言葉。
それに、彼女に依頼して置いた呪符は、火+風+火の基本の組み合わせを、ふたつ重ねた物としか説明をしていませんでした。
しかし、説明していない、火+光+光の組み合わせを、彼女は二人分用意して置いてくれたのは事実です。
まるで、俺の次の行動を知って居るかのような……。
そう。それは、つまり、『火+風+火』『火+風+火』『火+光+光』の九枚の呪符で発動させる火焔呪を、俺と、水の少女を同期状態で発動させようとした俺の意図を、彼女はあっさりと理解してくれたと言う事ですから。
もっとも、彼女は何らかの神性を帯びた存在。まして、複合呪符の使用方法を伝授してくれた相手ですから、アトゥの正体を知って居たのなら、俺の意図を理解して術式を組み上げて置いてくれたとしても、不思議ではないのですが。
まして、水行と木行ですから、霊気の相性も良いのは当然ですし。
ゆっくりと舞い降りる光の欠片が、彼女に触れて儚く消える。
彼女はただ、一途に、俺を見つめるのみ。
まるで、何かを満たすように……。
まるで、何かを訴えるかのように……。
「名前は、教えて貰えないのか?」
そう問い掛ける俺。その俺の口元にも一欠片の光が淡く光り、そして、直ぐに消えた。
いや。本当は、別の事を聞きたかった。
先ほどまで、ここの世界に存在していた少女と、俺の関係。
その彼女と、この目前の水の少女との関係。
そして、俺と彼女の関係。
何故なら、何故か、先ほどの少女と【話している最中】、俺は楽しかったから。
何故なら、今、目の前の水の少女を見つめる俺の瞳は……。
彼女は、真っ直ぐに俺を見つめた。その彼女と、俺の間に光の欠片が舞い降りる。
そして、ゆっくりと彼女は首を横に振った。
これは否定。しかし……。
「湖の乙女」
何故か、彼女は自らの存在を指し示す名称を口にする。
そう、湖の乙女。アーサー王伝説に登場する妖精。アーサー王にエクスカリバーを与え、湖の騎士ランスロットを育てた湖の乙女ヴィヴィアン。彼女は、この世界に於ける湖の乙女ヴィヴィアンに相当する存在と言う事なのですか。
ただ、彼女がヴィヴィアンならば、彼女の友人だと言われたあの女性は……。モリガン。いや、モリーアンと呼ぶべきか。モリーア
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