第4章 聖痕
第45話 蒼き世界での邂逅
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気に染まった雰囲気で、そう問い掛けて来る俺のボス。
その瞬間に、世界に入ったひびが、亀裂へと進む。
さらさらと。しかし、少しずつ、崩壊に向かう気配を発しながら……。
【ここでの出来事を、あたしは覚えていられるの?】
其処かしこに亀裂が広がって行く。世界が、断末魔の悲鳴を上げて居る。
彼女が。この世界の創造主が、この世界に見切りを付け、元の世界への帰還を望みつつ有るから。
【その部分に関しては、俺には答えはない】
そして、そう正直に答える俺。俺の知識では、今の【彼女の問い】に対して正確な答えを出す事は出来ないから。
但し、タバサに、この夢の世界で、俺と話した言葉の記憶が微かにでも残っている可能性が有る以上、すべてを失う訳でもないとは思いますが……。
刹那、大地が鳴動し、暗き空に亀裂が広がる。
俺達が辿って来た道が消え、高きフェンスが倒れる。
【ただ、俺とオマエさんの間に縁が有る限り、何時か必ず出会える】
「俺の意識の一部を明け渡す。呪符を……。火焔呪の力を制御してくれ」
俺の言葉と【言葉に】、ふたつの異なった存在が、同じ意味の答えを返す。
ひとつは同意の雰囲気を。もうひとつは、否定的な、それでいて同意を示す雰囲気を。
刹那、崩壊を続ける世界に於いて、未だ健在で有る悪夢の象徴が触枝を放つ。
ひとつひとつに、この世界を構成する悪意を乗せて迫り来る触枝。
【その時。運命の輪が交差するその時を、楽しみ待っているで】
「火焔を持って爆炎を為せ!」
水の少女に意識を明け渡す直前に、縁を結びし少女に対して【念話】を送る。
その刹那。予想通り、初対面の相手とは思えない程にスムーズな形で、俺の霊力と、水の少女の霊力が絡み合う。
「滅!」
二人の口訣と水の少女のみが結ぶ導引が、まるで同門の術者の如き重なりを見せ、
そして……。
そして、次の瞬間。俺と水の乙女自身が、光と化した。
☆★☆★☆
完全に消滅し、光と変わったアトゥの痕跡を探す事は、最早不可能。
まして、アイツが本当にアトゥと同じ存在ならば、クトゥグァの炎に焼き尽くされる邪神の顕現のひとつですから、あの炎でならば、完全に倒す事が出来ると思いましたから。
「この空間内に彼女の存在は確認出来ない。おそらく、現実世界へと帰還したと推測される」
空がひび割れ、校舎が淡い光の欠片となって世界が崩壊して行く様は、冷たい冬の夜空から、月の光を反射しつつ静かに降り積もる雪を思わせた。
小さな、小さな淡い光りの欠片が、ゆっくりと上から下へと降り注いで行く。
「そうか。ならば、今回のミッションもコンプリートと言う事やな」
ゆっくりと、小さな欠
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