第4章 聖痕
第45話 蒼き世界での邂逅
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解放する。
その何モノかの正体は……。
刹那、大地が鳴動する。
しかし、それよりも早い段階で、既に遙かな高みに駆け登っている俺。その一瞬後に爆発的に発生する炎! 炎! 炎!
しかし、その直前。上空に退避した俺の周りを包んだ冷気の塊が、爆発から発生した強大な熱と爆風から、俺と、そして水の精霊自身を護る。
そう。これは、炎の邪神と戦った際にタバサが使用した冷気陣。元々、俺、そして、俺の腕の中に居る水の精霊も小さき精霊達を纏い、多少の炎程度では身を害する事は出来はしない。
其処に、水に因って火を剋する陣を構築したのだ。この程度の爆発で発生した熱量などが、俺たちの元に届く事など考えられないでしょう。
そう考え、意識を足の下。遥かな地上に向ける俺。其処に存在して居たのは……。
俯瞰。遥かな高見から見下ろした先。噴火と共に現れたソイツをどう表現すべきか。
途中で折れた巨木。先ほどまで周りを取り囲んでいた黒い仔山羊の大型化した姿。
しかし、ソイツが放つ気は、先ほどまで俺と水の精霊を取り囲んでいた雰囲気とは明らかに違って居た。
それは悪意。俺と、水の精霊に対する悪意。
その太き幹の各所から生えて居る金の巻き枝は、石英を含んでいるのかのように全体がキラキラと輝き、そして、それ自体が何か、別種のおぞましき生き物で有るかの如く、ぬらぬらと揺れ動いて居る。
もし、アイツが俺の知って居るあの魔物ならば、少々ドコロではない厄介事に巻き込まれている事になるのですが……。
そんな事を考え始めた時、ぶるぶると不気味な振動を開始する巨木。太い幹に醜い顔のような模様が浮かび上がり、その穴に等しい、瞳のない目が俺を睨み付ける。そして、その不気味な目と、俺の目が……合った。
その刹那。一直線に放たれる触手……いや、触枝と表現すべきか。その触枝の数、八本。
更なる急上昇から、空中でのバック・ステップ。その瞬間、水の精霊の手から放たれた呪符が炎を巻き上げ、接近しつつ有った触枝を瞬時に炎上させる。
【彼女に呼び掛けて欲しい】
突如、心の中に響くタバサに似た声。いや、この声の主は、腕の中に居る水の少女。
彼女に呼び掛ける?
【念話で呼び掛けろ、と言うのか?】
目の前で、ビデオの逆回しのような形で再生して行く触枝を見つめながら、水の少女に接触型の【念話】を送る。
無言で首肯く水の少女。いや、俺の瞳は彼女を見つめていた訳では無い。ただ、彼女から肯定を意味する念が送られて来たので、首肯いたのだろうと判断しただけなのですが。
後方より接近して来る三つの触手を急加速からの半瞬の自然落下により上空に空を斬らせ、右から鞭の如くしなり近付いて来て居た触枝を水の少女が、火炎弾にて焼き
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