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蒼き夢の果てに
第4章 聖痕
第45話 蒼き世界での邂逅
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 蠢く原初の森を進む事しばし。……原初の森。つまり、大量の黒い仔山羊に囲まれた、しかし、そこだけがすっぽりと通常の空間で覆われた地点は……高いフェンスとブロック塀に囲まれた公共建築物で有りました。

 但し、その入り口たる校門は、夜の学校に相応しい鉄製の門に因って硬く閉じられ、内部に侵入するには、この門をよじ登って内部に侵入すると言う、不審者そのものの方法しか存在しなかったのですが。

 その目的地の入り口で立ち止まる水の精霊。そして、その清く澄んだ深い湖にも似た瞳で、俺の顔を真っ直ぐに見つめた。
 ……目的地は、この校門の内部。つまり、この門をよじ登るのか、それとも、開くのか。
 もしくは……。

 俺は数歩、水の精霊に近付く。そうその瞬間に、俺自身の他者を近付けて良い許容範囲の内側に彼女を入れたのだ。
 そして、

「すまんけど、持ち上げるで」

 ……と、そう問い掛ける俺。
 その言葉に、僅かに。動いたかどうか判らない微かな仕草。首肯く事のみで答える水の精霊。
 見た目通りの軽い彼女の身体を胸の辺りまで……所謂、お姫様抱っこと言う状態で持ち上げた後、生来の能力を解放して、鉄製の門扉を飛び越える俺。
 その、女性らしい柔らかさと、人肌に近い体温を発して居る身体に、少し戸惑い……。

 その刹那。そう、門扉を越えた瞬間に周囲の雰囲気が変わった。

 それまで周囲を占めていた気配は、少なくとも、俺と水の精霊相手に悪意を持った物では有りませんでした。
 確かに、俺の腕の中に居る水の精霊(少女)の言う通り、今まで周囲を取り囲んでいた黒い仔山羊たちからは、俺や、彼女を害しようと言う雰囲気を感じる事は有りませんでした。
 しかし、門扉を越えた瞬間、俺と、彼女を包んで居たのは悪意。

 そして、着地した刹那――――――――
 大地が爆発した。

 いや、違う。爆発した訳では無く、地下から爆発的に何かが飛び出したのだ。

 右足のみを大地に一瞬だけ付けて、そのまま再び宙に身を躍らせる俺。
 しかし、右足首に走る違和感。

 刹那、俺の腕の中で水の精霊が一枚の呪符を放つ。そして、起動した呪符が発生させた魔術回路が虚空に一瞬輝いた後――
 火焔へと変じた。
 そう。空気が揺らぎ、常人には見えない……幻想世界の住人たちが宙空に炎の球を発生させたのだ。

 呪符に因って発生させられた炎の球を、周囲の炎の精霊たちがまるで歓喜するかのように。舞い踊るかのように明々と燃やし、そして火の粉を撒き散らせながら運ぶ。
 そう、これは喜び。自らに与えられた能力を、術者に使って貰える事への喜びの舞い。

 眩いまでの軌跡を残して視界より消えた火球が、その一瞬の後、俺の足元で火柱を上げ、何モノかに拘束され掛かった俺を
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