第八話 拳と剣と槍
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ランサー、お前も今の状態で闘うのは不本意だろ?せめてサチが起きるのを待ってくれないか」
俺はランサーに向けて問いかける。
この状況であいつに問うのは正直かなり勇気がいるのだが、なりふり構っていられない。
ランサーは俺の顔を見ながら少し不満げにするが、
「っま、ちょいと消化不良だが、嬢ちゃんが目を覚まさねぇ以上俺も派手には動けねぇからな。俺は別に良いぜ」
「……嘘じゃないな」
「おいおい、これで英雄だぜ。一度誓った約束は破ったりしねぇよ」
ランサーはそう言い、構えを解くと槍を肩に担ぎ直した。
「セイバーも、今闘うのは待ってくれないか。治療しなくちゃいけないし、サチにもちゃんと説明したい」
俺はセイバーに問いかけると、セイバーは顔を少し顰めるがやがて構えを解いた。
「……解りました。確かに今闘えば私にとってもあまり得策ではない。ランサー、この勝負預けたぞ」
セイバーはランサーにそう投げかける
「おう、いずれちゃんとケリをつけさせて貰うぜ」
ランサーもニヤリと笑いながらそれに応じる。
何とかこの場を収められた俺は、緊張で力の入っていた肩をようやく下ろす事ができた。
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どこだろうか、
気がつくと見慣れない土地に立っている。
たしか私はあの部屋で無数のモンスター達に襲われていたはずだ。
もしかして私は死んだのだろうか。
そうすると―――ここはあの世?
けどあの世はこんなにも殺風景なものなのだろうか。
ギンッ!ガギンッ!!
どこかで鉄の叩きあうような音が聞こえる。
ウォォォォォォォォォォォォォォ!!!!
次に聞こえてきたのは地鳴りのような叫び声。
それも一人じゃない。
何万もの人があげた怒声や罵声が耳に入ってくる。
音の聞こえた方へ私は目を向けた。
そこには、単身で対軍に立ち向かう戦士がいた。
戦士と共に戦場にいるのは一人の男と一頭の灰色の馬のみ。
敗戦は必須。
だが戦士は闘いから逃げなかった。
槍を振るい何人もの敵を屠り去った。
だが、戦士は槍を無くし、その槍で戦士の隣にいた男と灰色の馬は殺された。
そして、戦士自身もその槍で体を貫かれた。
だが戦士は倒れない。
自らの体を岩にしばりつけ、倒れる事を許さなかった。
そして、戦士は立ち続けたまま静かに息を引き取った。
何なのだろう。
こんなのにも壮絶な死に方、私はいつの間にか涙を流していた。
闘う事を止めず、最後まで自分らしく生き続けた戦士。
私とは真逆。
こんなまっすぐな生き方は私には出来ない。
そう思った瞬間、突如辺りが闇に包まれた
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