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とある星の力を使いし者
第54話
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らを見た麻生は、一気に彼らに向かって急降下する。

(一撃で沈める。)

彼らの内の一人が何気なく空を見上げ、麻生が自分達に急接近している事に気づく。
手を胸元に伸ばし、拳銃を取り出して迎撃しようとする。
しかし、それよりも早く麻生は両足で地面を踏みつける。
ダン!!、という音と共に麻生を中心にコンクリートの地面がひび割れ、強烈な衝撃波が発生する。
拳銃を構えようとした彼らはその衝撃に巻き込まれ、吹き飛ばされいく。
「外」からの侵入者ならこの一撃で意識を失うと麻生は思っていた。

「ふむ、まさか貴様が此処に来るとは予想外だな。」

声が聞こえた。
麻生は声のする方に視線を向けると、周りで倒れている彼らと同じ黒いスーツを着た男が立っていた。
唯一の違いはその男は両手をポケットに入れ、拳銃を構えていないという所だけだ。
髪は金髪、目の色は緑で年齢は三〇代くらいの男がそこにいた。
見た目はどこにでもいるサラリーマンだ。
これといって特徴もなく街中で見かけたとしても、次の瞬間には忘れてしまう様な平凡さである。
しかし、対峙した瞬間麻生はその男の事を忘れる事は出来ないと確信した。
その男から溢れ出る異様な雰囲気が今までに感じた事が無いモノだ。
男から溢れ出るそれは、まるで瘴気の様に周囲を染めていき空気をドス黒く濁らせていく。
普通の人間が到底出せるモノでは無い。

「ふむ、この分だと「樹形図の設計者」(ツリーダイアグラム)残骸(レムナント)を回収することは無理のようだな。」

男は独り言を呟いている。
麻生は警戒を解かずその男をじっと見つめる。
そして、男の視線が麻生に向いた。

「ふむ、折角貴様に会えたのだ、一戦交えても問題はなかろうな。
 ふむ、周りの奴らは不満を言いそうだがな。」

少し笑みを浮かべながら男は右手をポケットから出すと突如本が出現し、右手に収まる。
麻生はその本から異様な魔力を感じた。
その瞬間、麻生の頭に痛みが走る。
魔道書を見た事による頭痛でも、敵の攻撃でもない。
麻生は頭を右手で軽く押さえながら言う。

「それは魔道書か。」

「ふむ、禁書目録でもないのによく分かったな。」

確かにこの男の言うとおりだ。
麻生は様々な事を記憶しているが男が持っている本が魔道書だと一見して分かった。
それは魔道書でない可能性もあるのになぜかあの本は魔道書だと直感だが分かった。
そして、禁書目録という単語を聞いた麻生は眉をひそめた。

「禁書目録を知っているという事は魔術師か。」

「ふむ、その通りだ。
 ふむ、だがローマ正教やイギリス清教などの下等生物と一緒にするなよ。
 ふむ、私は・・・いや私達は下等生物よりも格段に優れている種族なのだからな。」

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