第54話
[3/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
筈だ。」
「どうして知っているんですか!?」
「理由を説明している時間はない。
残骸を外部組織に引き渡す為の合流ポイントがどこか分かるか?」
「それは分かりますけど、麻生さんはそれを聞いてどうするつもりですか?」
いつもと違って真剣な声で聞いてくる。
彼女も風紀委員だ。
一般人である麻生が危険な所に向かおうとしている事に気づき、止めるつもりなのだろう。
それが分かっていて麻生は真正面から答える。
「外部組織を壊滅させれば少なくとも残骸が外に出回ることはない。
だから、教えてくれ。」
麻生の言葉を聞いた初春は何も返事が返ってこない。
少しの沈黙の後、電話越しでも分かるくらいのため息が聞こえた。
「いいですか、絶対に白井さんには内緒ですよ!!
もし教えたことが知られたら何て言われるか分かりませんから。」
その言葉と同時にキーボードを叩く音が聞こえる。
少しした後、外部組織と接触するであろうポイントを教えてもらった。
「教えてもらったのは感謝するが、どうして教えたんだ?
俺は一般人だ、風紀委員である初春は止めないといけない立場じゃないのか?」
「確かにそうですけど、今は人手不足で困っている所です。
麻生さんが何の力も持たない一般人なら止めていますけど、そうじゃありませんから。
白井さんは残骸を外部組織に持っていこうとしている能力者と戦っています。
その努力を無駄にしたくないんです。
警備員も協力して組織を押さえていますけどさっき教えた所だけ、手が回っていないんです。
だから、麻生さん。
風紀委員でもなんでもない人に頼むのは間違っていると思います。
けど、もう私の知っている人の中でこの状況を打破出来るのは麻生さんしかないんです。
どうかよろしくお願いします。」
おそらく電話越しなのに初春は頭を下げている事が麻生は何となく予想できた。
麻生はただ一言簡潔に答える。
「任せろ。」
その一言だけ聞いた初春は最後によろしくお願いします!!、と電話越しでも耳鳴りするくらいの大声で言って電話を切る。
麻生はつくづく思う。
自分は変わった、と。
前の自分ならさっきの言葉も今のこの行動さえも起こさなかった筈だ。
それでも構わない、と麻生は思う。
今の自分が一番しっくりきている。
携帯のGPSを使い、初春から聞いた場所を調べる。
場所が分かると能力を使い、空中に浮かぶと風を利用してその場所まで一気に移動する。
その場所まで行くと黒いスーツを着た人物が一〇人立っていた。
この学園都市には不釣合いな格好をした彼
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ