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星河の覇皇
第一部第二章 銀河の群星その五
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もりつつ言った。
「我が連合のまとまりはもう充分ではないでしょうか。設立と同時に経済及び貿易は自由化され関税や市場の統合も為されています。しかも共通の通貨までありますし」
 これは既に連合の設立の頃に為されている。連合の通貨は『テラ』という。地球からとったものだ。
 しかしこれは連合に住む者なら誰でも知っているようなことだ。彼も自分で口にして何を言っているんだ、と思った。
「そして中央警察も設立された、もうそれで充分ではないかと」
 キロモトは微笑みながらその話を聞いていた。
「はい」
 八条は答えた。
「成程、確かに一理あります。今の我等の中ではそれが意見の主流でしょう」
「そうですね。我々はあくまで互いの主権や個性を尊重し合うということを何よりも重要視していますから」
 連合の特徴の一つである。エウロパやマウリア、サハラ各国に比べてこの連合では個人主義的風潮が強い。自分のことは自分でせよ、相手の個性や考えにまで口を出すな。これは構成する各国の文化や風習の違いが凄い為にそうなったことである。大国も他の国のそうしたことには口出しはしなかった。何故なら彼等の中にも様々な風習や文化がありそれを言うととんだヤブヘビになるからだ。
「ですが私の考えは違います」
 キロモトはニヤリ、と笑ってそう言った。
「連合の中で統一された軍を持つことは我々の団結をより強いものにします。そして治安や国防も考え易くなります」
「確かにそうですが」
「我々に敵がいないというのは誤りです。今は遭遇していませんが人類以外の知的生命体との遭遇も考えられます」
「はい」
 これは誰もが一度は漫画やテレビ、本、ゲーム等で見ていた。攻撃的な侵略者。一千年以上も昔から変わらない他の知的生命体からの一方的な攻撃である。
「この宇宙は広い。我々の開拓地もさらに広くなります。そうすればさらに遭う可能性は高くなるでしょう」
 それもまた以前より言われてきている。むしろ今まで遭遇しちえないこのことが奇跡なのだとも言われている。
「まだ遭ってもいない、という話は通用しません。遭ってからでは遅いのです」
「それはその通りですが」
 八条は答えた。
「それにエウロパに対しても防衛は完璧ではありません」
 キロモトは目を少し険しくさせて言った。
「といいますと!?」
 八条はこの言葉には少し面食らった。エウロパとの唯一の国境であるブラウベルク回廊にはガンタース要塞群がある。これはガンタース星系の十五の惑星全てを要塞化したものでエウロパのニーベルング要塞群をも遥かに凌駕するものである。その強化は常に行なわれており陥落させることは不可能と言われている。
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