第26話 バーミリオンの死闘
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ながらという武人らしい最期であった。
「戦艦ディオメデス撃沈、ラルフ・カールセン提督戦死」
「これで、敵の両翼は組織だった行動はできんな。敵両翼の残存部隊はファーレンハイト、アイゼナッハ両提督に任せ、我々は敵の本隊を叩く!」
モートン、カールセン両艦隊を排し、正面に集中できるようになったアドルフ、ミュラー、シュタインメッツ、メックリンガーの4個艦隊は中央に攻撃を集中し、この圧力に耐え切れず、ヤン、スプレイン両艦隊は一時後退してしまう。
「今だ、敵の先頭集団に集中砲火を浴びせよ!」
嵐のように撃ち込まれる砲撃。
なんとか堪えていたヤン、スプレイン艦隊であったが、遂にその艦列を崩してしまった。
「よし!」
「敵が崩れたぞ」
同盟軍が崩れたのを見て、帝国軍の砲撃がより一層増す。
「踏み止まれ、砲撃を集中させろ!」
アッテンボローが懸命に声を張り上げるも、帝国軍の勢いは止まらない。
「提督、もはや数の上で防御線を維持できません」
「…………」
「戦艦アガートラムに直撃弾!」
「なに!?」
「フィッシャー提督は?」
「い、命に別状はありませんが……重症を負われてますので指揮を取れる状態にありません」
エドウィン・フィッシャー中将の脱落は、劣勢にあるヤン艦隊に深刻な打撃を与えた。
ヤン艦隊の神憑り的な強さは、ヤンの知略に艦隊の運動が常に隙なく連動してきたことが大きい。
艦隊運用に関するフィッシャーの名人芸と、その名人を発掘し全権を委ねたヤンの度量とが完璧なコンビネーションを発揮して今日までの勝利を維持し得てきたのである。
そのフィッシャーが重傷を負った現状、艦隊に今までのような運動は到底不可能である。
もはや長時間に渡って帝国軍の猛攻を支えることは出来ないだろう。
ヤン自身がそう考えていた。
そして、更に止めとも言える凶報が舞い込んでくる。
「て、敵の後方に多数の艦影!」
「別動隊か?」
「戦艦スターリン確認……ゼークト艦隊です」
それは、ゼークト艦隊15000隻であった。
「間に合ったか、突撃だ! ここでイゼルローンの汚名を晴らすのだ!」
新たな増援を得た帝国と、既に満身創痍の同盟。
ここに、勝敗は決した。
「力及ばず……か。全艦機関停止、敵艦隊に降伏の意思を……」
ヤンが降伏を決意した……まさにその時。
「閣下、首都星ハイネセンより緊急通信です!」
ハイネセンより無条件降伏せよとの通信が届けられた。
「元々そのつもりだった、全軍に停戦するよう伝達してくれ。我々は帝国軍に降伏する」
同盟軍は全艦に砲撃と機関を停止させ、帝国軍に降伏を申し出た。
・・・・・
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