第26話 バーミリオンの死闘
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ルフ・フォン・ハプスブルクと、ある思惑があるヤン・ウェンリー。
双方の思惑が重なった結果、戦闘はごく正統的な戦法での探り合いから始まったのである。
・・・・・
4月16日。
戦いが3日目を迎えたところで、戦況は大きく変化する。
「後方より敵、およそ8000!」
「バカな! この状況で……」
それは、カールセン中将率いる第十五艦隊8000隻であった。
「行けー、敵を挟撃する好機は今ぞ!!」
背後を突かれた帝国軍の艦艇が次々と沈んでいく。
「くっ、ならベルゲングリューン、ジンツァーの分艦隊を回して……」
「前方の敵、攻勢に出てきます!」
これまで、帝国軍との緩い撃ち合いに興じていた同盟軍は一転して速攻に転じた。
前後から挟撃された帝国軍の損害はたちどころに増えていく。
「閣下、このままでは戦力を消耗してしまいます。ここは一度反転し、背後の敵艦隊を先に始末しましょう」
総参謀長のグライフスがアドルフに進言する。が、
「敵前で反転など出来るか、相手はあのヤンだぞ! だが、確かにこのまま手を拱《こまね》いていてもジリ便だな。………ならば、全艦突撃だ。密集隊形をとって敵中央を食い破り戦線を再構築する。バルトハウザー、卿の能力に期待する。先鋒を頼むぞ」
『はっ、お任せ下さい』
帝国軍はバルトハウザー中将率いる2500隻の分艦隊を先頭にして同盟軍の中央を突破するべく突撃を開始する。
「ダメです、敵の攻撃が激しく防ぎきれません!」
「中央を空け、敵を通してやれ。そして敵の集結地点に砲火を集中せよ。なるべく正確に、効率的にだ」
同盟軍の中央を突破し戦線の再構築を図った帝国軍であったが、艦隊の集結地点に集中砲火を受け、先程の挟撃と合わせてその数を大きく減じた。
これで数は45000対32000。
帝国軍は開戦時から17000隻も減じているのに対し、同盟軍は逆に1000隻増えている計算になる(※第十五艦隊が加わったため)。
勝負はまだ分からない。
「全艦、そのまま前進して距離をとれ。艦隊を再編する」 ← アドルフ
「攻撃中止。今のうちに、こちらも艦隊の再編を行う」 ← ヤン
この一連の戦闘で両軍とも陣形が完全に崩れているため、両軍共に戦線の収拾を図る。
翌17日。
再編を終えた両軍の戦闘が再開される。
「モートン提督、カールセン提督に命令、敵中央と両翼を分断せよ」
「全艦突撃!」
「突撃!」
モートン、カールセン両艦隊の決死の突撃で、同盟軍は帝国軍中央と両翼との間に楔を打ち込むことに成功する。
これにより、メックリンガー、シュタインメッツ両艦隊は一時的に本隊との連携がとれなくなった。
「敵両翼を
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