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SAO編−白百合の刃−
SAO5−不器用とお節介
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 僅かな可能性に賭けたかった気持ちも分からなくないが、現実は非情なんだよね〜。

「とりあえず、クラインは変に邪魔しないことね」
「じゃあ、じゃあド」
「駄目」
「まだ言い終わってないだろ!」
「駄目だって! ドウセツは私と組んでいるし、あとドウセツが他のプレイヤーと一緒にいるのが嫌」
「自分の物みたいに言っているけどよ、ドウセツさんはおめぇのものじゃないんだろ?」
「私の物だよ!」
「自身満々に言うなよ!」
「だって、そうでも言わないとクラインに取られるんだもん」
「たく、お前ってやつは、たまに怖いぜ、まったく……」

 何で怖いと思うのさ。健全な女の子だったら彼氏に出来たら嫌に思うでしょ?
 えっ、違う? あっそう……。

「なぁ、キリカ。前に言ったよな? 俺のこと羨ましいって」
「ん? あぁ、言ったよ」
「だからさ……俺にもチャンス与えてくれよ、な?」

 確かに、仲間を守る重圧と失うかもしれない恐怖の重さをクラインは背負っているだろう。その重圧に耐えながらも、欠けることなく生きていることが羨ましいとは言った。それは嘘でも社交辞令でもない。心から羨ましいと思っている。
 けどね。

「それはそれ、これはこれ」
「なんだと!?」
「そう言うことなのよ。はい、そうですかって渡してたまるかよ。チャンスなら自分で掴め! あ、ドウセツは駄目ね」

「くそぉ……マジかよ……」

 恋人フラグが完全に無くなりわかりやすいように肩を落とした。

「大丈夫。チャンスはあるって」
「ほんとかよ……」
「あと五十年以内なら会えるからさ」
「大雑把過ぎるだろ! 逆に五十年以内に未婚だったら悲しいだろ!」
「あ、一生未婚なのはありえそう。一生兄貴分なキャラとして終わりそうだよね」
「残酷なこと言うなよ!」
「大丈夫! 今はなくてもいつかは!」
「おうそうかって、今はねぇのかよ!」

 未来のことなんてわからないし、今のうちに好きなように適当な感じでもいいんじゃないかと思う。未来なんて、誰にもわからないものだしね。

「だからさ、その、クライン」
「ん?」

 でも、確定したい未来もあってはいいんじゃないかと思うんだよね。

「私……いや、兄も今までソロだったじゃない」
「そうだな」
「それでね……変な気持ちと言うかな? 今は二人だけで組みたいのだよね。兄はどう思っているのかはわからないけどさ、だからね……今まで通りに、その……からかってくれないかな?」

 数少ない私達兄妹の過去を知るクラインだからこそ、今まで通りに接してもらいたい。だから弱音も吐いていられる。拒まれたら怖いけど、そんな人じゃないから安心できる。信頼出来る友への願い。

「たく……わかったよ」

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