SAO編−白百合の刃−
SAO5−不器用とお節介
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ている証拠だ。普段の兄だったら考えられない行動だもの。
クラインとの出会いは、最初の一層『はじまりの街』あの日、あの時、絶望を知らず期待を抱いてソードアート・オンラインにダイブ、兄と合流したら、いきなり知らない人と交流をしていたからビックリしたのは覚えている。クラインと交流した切っ掛けは兄がベータ経験者だと見当をつけたみたいで、レクチャーを頼んだのが切っ掛けになった。
そう言えば、クラインったらレベル1のモンスターに苦戦していたっけ。懐かしいなぁ……。
それが今や、クライン率いる『風林火山』は、馴染み全員が生き抜いて、リーダーであるクラインは独力で仲間を守り抜き、攻略組の一角を占めるまでに腕を上げてきた、すごい成長ぶりだ。
ふと兄を一瞥すると胸中深くに滲む自己嫌悪を少し表していた。デスゲームが始まった日、クラインとその仲間を守れなかった重みを背負うということを拒んだことが、今でも自己嫌悪として残っているんだろう。私はそんな兄が放っておけなくて一緒に行動していた。
“あの日”までは。
今でも自己嫌悪になっている兄に声をかけないのは、そんな気軽に声をかけたところで逆効果になる気がするのと、私もなんて言えばわからない。
…………なんてね。
暗くなったところで、戻ってくるものは何もない。今は、今の状況を楽しむとするかな。
「クライン。ちょっとこっち来てー」
「お、おい! なにすんだよ! キリト覚えておけよ!」
短いやり取りに何があったのだろう。兄に対して何かしらの嫉妬心を抱いていたような殺気を感じたんだけど、まぁいいや
とりあえずクラインのバンダナの尻尾を引っ張り、兄に聞こえないところまで連れていった。
「なにすんだよ! 俺は一発、いや五発ぐらいキリトに殴らないと気がすまねぇ!」
「一体何があったの?」
クラインは歯ぎしりに乗せて殺気をこもった声で答えた。
「くそ、キリトのやろっ……いつの間にかアスナさんとパーティー組みやがって……」
「要は羨ましいと」
「あぁそうだ! 羨ましいんだよ!」
開き直るように声を上げ、「チクショー」っと、唸った。それはまるで夢が覚めた瞬間だったように。
えっと、その……うん、ドンマイ。
「仕方ないよ。アスナから兄に誘ってきたのだから」
「何ィ!? き、キリトが誘ったんじゃないのかァ!?」
「……兄が積極的に美人さんを誘えると思う?」
「それもそうだな」
「おまけにアスナの方が脈ありな感じがするわ。兄といる時、結構良い笑顔になること多いし、だからクラインに恋人フラグは立たないと思ったほうがいいよ。というか諦めたほうがクラインのためになるって、どうせ頑張ってもフラれ
「相変わらず容赦ないな、オイ!」
容赦ないってどう言うことか?
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