大体の経緯
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なんだと、自分を一つ知った。
《 ターン ターン ターン 》
《 ターン ターン ターン 》
《 ターン ターン タン タタターーーーーン .....》
音を、紡いでいくように、聴覚を研ぎすまして集中していく。
この曲は、アニメの挿入曲だった。タイトルと内容がクールで、その中に出て来た優しい音。
地獄の沙汰に強制連行するあの少女の、救われない魂を寂しく思う。
この曲は初心者の僕にも弾き易いし、今のささくれ立った感情を逆撫でなくてちょうど良かった。
こちらに生まれて7日経った。
今まで、寝ている時はこちらで過ごした。狐をからかいつつ、ピアノを弾くのが日課となった。
この前、名前を教えてくれない狐に業を煮やした僕は、『お隣さん』と呼び始めた。
狐の棲む格子の隣に、僕は住んでいるから。
菓子折持って、宜しくと声をかけた時、尻尾が容赦なく襲って来たが。
だが、今日は違う。
あのちゃぶ台に座る者がいた。
金髪の笑顔の眩しいイケメンだった。
ちゃぶ台に並ぶ、茶菓子と、2つの湯のみ。
ずずっと音を立てて啜る。気まずい。
てか、この人誰ですか?
〈はっ〉
そこで一つの可能性に行き着いた。
「大家さん、ですか?」
「違うよ?! 君の『お父さん』だ。」
家賃払えと言われるのと、どちらが良かっただろう。
「はぁあああ??!!!」
「だから、君のお父さんだって!」
にっこり笑顔で宣った金髪美形。今まで具現しなかった手鏡を探した。
「なぁ!!??」
そこに映るのは、目の前の男と瓜二つの少年の顔。ぺたぺたと顔を触る、否定出来る材料は、残念ながら無かった。
そんな僕の様子に、青年は八の字に眉を下げる。
「そんなに、僕の息子になるの嫌?」
捨てられた子犬のようにシュンと項垂れる。成人したいい男。
「兄、とかでも厭だけど、父はね..........。」
別に思い入れがあるわけではないけど、いきなりはきついものが在った。
「大体、年近いからそんな感じしないよ。大家さん、いくつなの?」
「ん。それは秘密だよ!」
ウインク付きで答えた。この人、うざっ。
「というか、『大家さん』って何?」
「ここで家主を待たずにくつろげる、そんなでかい態度で居られる許容範囲がそれだった。」
無論、家族も在るが、候補にすら上がらなかった。
「うっ。ま、まあ家族なんだし、ネ!! 笑〜って許して♪?」
「うざっ」
好きだからすぐに分かった。これはネタだと。.....何か、変なところで気が合いそう。
この
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