大体の経緯
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前に立ち、鍋掴みでもって掲げた大きな鍋一杯の出来立てシチュー。
そのとき僕は、ここが死後の世界なのかどうか、分からなくなっていた。
「要らん。 ――――お主、ずっとここに居る気か?」
「ん? ま、他に行くとこ無いし。」
そもそも行き方が分からない。
狐はくつくつと、大きな口を器用に吊り上げ、やがてそれは大笑いとなる。
笑いながら、ばさりと下ろしていた尾を立ち上げた。
「ーーーー九尾.......?」
伝承にあった。九つの尾を持つ存在。九尾の狐。
「知っておったか。まあいい。小僧、折角だから教えておいてやる。ーーーーーお主は死ぬ。」
「もう、死んでるよ。」
ここで生きているとも言えなくもないけど。確かにあれで僕は死んだ。
グアァアハハハハハハーーーーー
「こいつは傑作だな。喜べ、小僧。主は死んでおらん。」
「どういうこと?」
「ふん、さっさとここから去れ。」
ふう、っと浮き上がる感覚。今までに無かった。
「?!!」
「二度と来るな。」
決別の言葉を口にした狐。持ち上げた尻尾を下ろし、興味が失せたと言わんばかりに、瞼を下ろす。
「?! ーーーーいやだ!!」
叫んでいた。
「また来ます! 気に入ったもん、ここ!!」
眉間に皺のよった狐を最後に、意識は浮上した。
「ーーーおお、おお。起きたか、ナルトや。さ、ミルクを与えようの。」
「ほ、火影様!! 我々に任せて執務にお戻り下さい!」
なんだか、転生しちゃったようで?
その後、寝ている時にこの空間に来れるということが分かり、すっかりちゃっかり居座っている。
勿論。狐の機嫌は急降下していった。
「帰れ! 来るな!!」
下げていた顔を上げ、狐を見据える。
「無理。寝たらこっち来るんだもん。仕方ない、仕方ない!」
檻の中に居ることを良いことに、結構好き勝手にしている。
ぎゃーぎゃー、檻から騒ぐのも飽き飽きして、不貞寝コースはいつものこと。
《 ポーーーーーーーーーーー・・・ン 》
響くのはピアノの音。
あれから、前居た世界で好きだった曲を練習しているのだ。
忘れたくなかったのもある。けれど、一番の理由は、僕はピアニストに憧れていたから。
大好きだったジャズ。
初めてそれに会った時、僕は、キラキラを幻視した。
それから、聞きにいったコンサート。やはり、生の音が一番いいと思う。生セッションはドキドキが止まらなかった。
CDを借りたり、買ったり。好きな弾き手もだんだん固定していった。
巧い、とかよりも、ものすごく楽しそうな音が好き
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