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八条学園怪異譚
第十七話 舞と音楽その十一
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た。
「本当にね」
「それでどうするの?」
 聖花はあらためてその愛実に問うた。
「チロ寝てるけれど」
「ううん、起こすのも可哀想よね」
「そっと持ってね」
「そうして籠に入れてよね」
「そうして連れて帰る?」 
 これが聖花の提案だった。
「それでどうかしら」
「そうね。そっと持ってね」
「これしかないわよね」
「ええ、確かに」
「二人で持とう」
 聖花は自分の考えを受け入れてくれた愛実にこうも提案した。
「そうして行こう」
「じゃあ二人で」  
 こう話してだった、二人で丸くなって寝ているチロを愛実の自転車の籠にそっと入れてから起こさない様に自転車を慎重に運転して家に帰った。この日も泉は見付からなかったが二人にとっては楽しい一日だった。


第十七話   完


                           2012・11・27
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