暁 〜小説投稿サイト〜
TREMOLO(仮)  針滴×鳴門(ハリー憑依)
入学前
最近風邪がはやり出したのか、頭痛がする今日この頃。
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只のアルバイト。
今じゃすっかり

「今日もイケメンよ! マスター!!」
「ありがとう。」
囃し立てる野次に、とびきりの営業スマイルで応えた。

BAR TREMOLO。今日もいつも通り開店します。









今日、午前と昼に休みを貰って、役所に行ったのだ。

子どもを一人、引き取る為の手続きだった。意外と時間を要したのは、僕が日本からイギリスに籍を変えたことと、審査に大変手間取っていたのだ。
その上、僕は未だ若く、定職は有るものの、寂れた店で、何時潰れるともしれないようなところだとダメ出しをくらっていた。

やっと許可がおり、踏み切れると息込んでいたら、今度は現在の保護者が渋った。
旦那は大いに喜んで居たのだが、子どもと血縁関係にある夫人が猛反発したのだ。それはそれは、今までで考えられないほどに、凄まじい勢いであった。
福祉団体を通し、たまに顔を見せることで落ち着いたのだが、後で詳しく話を聞く必要がありそうだ。

団体の玄関前で別れる際、夫人は旦那の肩に抱かれるようにして帰って行ったのを見て、それを切り出した。
旦那は厭そうに僕を睨み付け、しかし、普段と様子の違う妻の安定の為に渋々了承した。
その間、夫人はうつむいたまま、顔を上げることはなかった。





そんなことがあった昼。その後、荷物を持って新居に向かう。

テラスハウスの借り暮らしに、正式に増えた同居人。彼の荷物は鞄一つだけ。数日分の服と日記と辞書。だが、これから増えるだろう。


「ただいま。」
鍵のかかっていないドアノブを不用心だと思いつつ開けると、スープのいい匂いが空腹に一撃入れた。

「おかえり。」
「ただいま。いい匂いだね。」
「ちょっと待ってて、温め直すから。」
「ん。あ、飲み物とか」
「頼む。」

息もぴったり。足りないところに手が届く。違った、ま、僕らに痒い死角は無い。

当たり前だ、影分身と本体なのだから。

テーブルに並べられた昼食は、眼で見るだけでもおいしそうだ。
これで、白米さえ在れば。それが何よりの憂い。

「首尾は?」
「渋られたよ。あれは、かなり重要な秘密がありそうだ。」
「聞き出せそう?」
「代わりにやっといて。」
「ラジャー。そっち行っていい?」
「構わないよ。聞き耳立てれて手間が省ける。」
「必要ないだろ?」

手についたパンくずを、手で叩き落とし、コーヒーの入ったマグカップに手を掛けた。
「最近、こうしているせいか、君を息子のように思うよ。」
「……嫌な冗談だな。」

歪んだ表情に、何のリアクションも返さず熱いコーヒーを啜る。
しばらくたっても何の反応も無い。

「…………まじかよ。」
頭を抱えた。

「い
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