TURN55 ドロシー失踪その五
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クリスの乗るエセックスも攻撃を受けた。激しい衝撃で艦が大きく揺れ悲鳴そのものの報告があがった。
「エンジン中破!」
「左舷に穴が開きました!」
「まだ動けるかしら」
クリスは警報音の中で部下達に問う。
「結構なダメージだけれど」
「はい、何とか」
「ですが速度は」
落ちるというのだ。
「ここでさらに攻撃を受ければ」
「撃沈も有り得ます」
「駆逐艦では撃沈されているものも出ているわね」
クリスは戦局を見る。見ればだった。
「空母も行動不能に陥っているのがあるわね」
「はい、しかもまた魚雷が来ました」
太平洋軍の攻撃は一度ではなかった。
もう一度来た。日本の駆逐艦は酸素魚雷を二度放てるのだ。
それでまた来た。それでだった。
ガメリカ軍機動部隊はその動きを完全に止めた。壊滅状態に陥ってしまった。クリスは動けなくなった己の艦隊を見て言う。
「もうこれはね」
「戦闘不能ですね」
「我が軍は」
「ええ、機動部隊はね」
それはだというのだ。
「やられたわ。艦載機で攻めるのではなく」
「魚雷でしたね」
「それで来るとは」
「予想もしていなかったわ」
そうした意味でクリスの敗北だった。クリスは動けなくなったその機動部隊を見てそれで部下達に告げた。
「こうなってはね」
「総員退艦ですね」
「全艦隊で」
「はい、そうしましょう」
こう話してそしてだった。
機動部隊の人員はカナダに下がる。カナダがそのクリスに言う。
「ゆっくり休んでね」
「御免なさい、してやられたわ」
「いいよ。勝敗は戦争の常だよ」
こう言ってクリスを労いもする。
「だからね」
「そう言ってくれるのね」
「うん、じゃあね」
「後はお願いね」
「ちょっと辛い状況だけれどね」
カナダ軍とガメリカ軍の戦艦艦隊は太平洋軍とビームでの砲撃戦に入っている。だがガメリカ軍はともかく旧式のカナダ軍では太平洋軍に勝てなかった。
一方的にやられている。カナダはその中でクリスに言うのだ。
「何とかやるよ」
「カナダさんも無理はしなくていいから」
「けれどここで負けたら」
「勝敗は戦争の常でしょ」
微笑んでカナダが言った言葉をそのまま返す。
「だからね」
「負けてもいいっていうんだね」
「負けてもまだカナダさんは生き残るから」
だからだというのだ。
「無理はしないで」
「ここで負けたら」
後はケベックしかないがそこにはもう戦力がない。つまりここで敗れればカナダは降伏するしかないのだ。
だからカナダも言うのだ。
「僕は連合国から離脱するけれど」
「それも仕方ないわ」
「勝敗は戦争の常だからだね」
「ええ、無理して傷を深くしないで」
「クリスさんがそう言うんなら」
カナダもクリ
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