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ヘタリア大帝国
TURN55 ドロシー失踪その三
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「では今から」
「ここでの戦いは艦載機同士での戦いの結果次第よ」
「間違いなくそうなりますね」
「じゃあここはね」
「はい。総攻撃です」
 両軍の艦載機が互いに正面から激突する。艦載機の数も互角だった。
 しかし性能が違っていた。太平洋軍の艦載機は見事な運動性でガメリカ軍の艦載機を翻弄しだしたのだ。
「何っ、この小回りは」
「何だ、これは!」
 ひらひらと舞い横や後ろに来る。それを観てガメリカ軍のパイロット達は何とか対応しようとする。だがそれより先に。
 太平洋軍の艦載機は横や後ろ、そして上下からガメリカ軍の艦載機に攻撃を仕掛ける。一瞬の隙が両軍の明暗を分けた。
 忽ちガメリカ軍艦載機、グラマンの幾分かが撃墜される。クリスはそれを見てすぐにドッグファイトを止めさせた。
「陣を整えなさい」
「グラマンの陣をですか」
「それをですか」
「タイプ4ではあの零戦には勝てないわ」
 即座にこう判断してのことだった。
「いいわね。それじゃあね」
「陣を組みですか」
「そのうえで」
「ええ、個々で相手にあたらない」 
 ドッグファイトよりもだというのだ。
「集団であたりなさい」
「わかりました。それでは」
「今は」
 こうしてグラマンはクリスの指示の下確かな陣を組む。そのうえで機動力を活用して個々のドッグファイトで有利に立とうとする零戦に対抗しようとする。だが。
 それを観た小澤が淡々として言った。太平洋軍機動部隊を指揮するのはやはり彼女だ。
「個々でも編隊でも同じです」
「やっぱり運動性能を活かすんだね」
「はい、防御力は向こうの方が上ですが」
「運動性能じゃこっちが上だからね」
 南雲がモニターで小澤に言う。
「だからだね」
「速度と火力は同じ位です」
 実際タイプ4でもグラマンはかなりのものだった。
「それならです」
「運動性能を活かして攻めればいいね」
「全軍二手に分かれます」
 ただ運動性能を活かすだけではなかった。
「そしてそのうえで」
「敵を翻弄してだね」
「攻めましょう、ここは」
「わかったよ。それじゃあね」
 南雲は明るい顔で小澤の作戦に頷く。そうして。
 実際に太平洋軍は二手に分かれ編隊を組むガメリカ軍に向かう。一方が上に、そしてもう一方が下に。
 ガメリカ軍はそれを観てどうすべきか逡巡した。これに対して。
 クリスは即座に判断を下した、その作戦はというと。
「各個撃破よ」
「二手に分かれた敵をですか」
「それぞれですね」
「下手に兵を分けては敵の思うツボよ」
 そうなれば運動性能に勝る零戦のものだ。そう判断してのことだ。
「だからここはね」
「二手に分かれた敵をですね」
「それぞれ各個に」
「ええ、叩くわ」
 こう話してだった。
 ガメリ
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