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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
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第四話「急転」
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あるアカーシャ・ブラッドリバーの血がね」


 ――なんだと……お袋が、もう一人の真祖!? いや、三大冥王の首領だと!?


 三大冥王というのは俺も聞いたことがある。妖たちの頂点に君臨する大妖怪たちであり、一人一人が強大な力を秘めている、と。その由来までは聞いたことがなかったが。


 ――しかし、亞愛の目的というのは一体……世界を手にする? 一体何のために……。


「アカーシャさんは後悔していないの? 萌香を家から追い出したことを。大方、私の正体を知っての対応なんだろうけど、正直意外だったもの。あなたたち母娘は何があっても離れないって思っていたから」


 目を伏せる亞愛の顔にはある種の感情が浮き上がっていた。


「いつも一緒にいて、当然のように支え合って、誰よりも深い絆で繋がっているようだった。ずっと、羨ましいって思ってた……」


 それは、羨望。亞愛の過去に何があったのかは知らないが、今の発現から考えると、ずっと家族を欲していたのだろう。ここに家族がいるのに、なぜ気が付かないのか……。


「……萌香はね、すごい難産で、生まれてきた時は殆ど死んでいたのよ」


「死んでた?」


「そう、その時初めて神様に祈ったわ、『私の事はどうでもいいから、この子だけは助けて下さい』ってね。その思いは何も変わっていないの」


 そう言って笑ったお袋の顔はとても綺麗だった。呆気にとられていた亞愛が小さく笑みを零す。


「そうね、私も萌香のことは大好きよ。あの子と一緒にいると不思議と暖かい気持ちになるの」


「貴女にはよく懐いていたものね」


 クスクス笑うお袋に亞愛もカラカラと笑う。


「是是(そうそう)。性格は違うのに相性は逆にピッタリでね! まあ、兄様には敵わなかったけど」


 ――すまん、それは何とも言えない。


「だから感謝しているの、あの子を避難させてくれて。本当はもっと早くに行動するつもりだったけど、萌香のことを考えるとどうしても二の足を踏んでしまった。その結果、気が付けば一年以上も経っていたわ。だって――あなたがここで死んだら、萌香が悲しむもの」


 壮絶な冷たい笑みを張りつけた亞愛が強烈な殺気を発する。あまりの強さに、思わず戦闘態勢を取ってしまいそうになった。慌てて心を落ち着かせる。


 お袋は気にした風もなく変わらない笑みを浮かべている。流石は三大冥王と言ったところか。


「あなたはここが嫌い?」


「……正直に言えば、嫌いじゃない。むしろ居心地がいいわ。まるでぬるま湯のようで、いつまでもここにいてしまいそうになる」


「なら――」


「でも」


 お袋の言葉を遮り言葉を続
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