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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
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第三話「真祖」
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ふと気が付けば、草原の大地に立っていた。
――視点が、いつもより高い? 見下ろす大地が普段より高く見える。
良く見れば着ている服装が普段の黒いワイシャツにジーンズではなく、黒の和服を着流しており、さらにその上から赤いロングコートを羽織っていた。なんだ、このファッションは……。
目の前には燃えるような赤い髪をした青年が傷だらけになって座っている。
『やっぱり君には敵わないか……。そうであってほしいと願った身としては嬉しいやら悔しいやら。複雑な気持ちだね』
『強敵であってほしいと言ったのは君だろう』
俺の口から聞き覚えのない声が発せられた。俺の意思とは関係なく勝手に言葉を紡いでいく。
身体を動かそうとしても一ミリたりとも動かない。
――なんだ、これは……?
『そうなんだけどねぇ……やっぱり、悔しいよ』
苦笑する男が大地に寝っころがり、
――視界が暗転した。
――なっ、どこだここは!?
見知らぬ建物の屋上で、気が付けば椅子に腰かけていた。隣には黒髪の美女がこちらを見つめている。
俺の身体がひとりでに動き、懐からタバコを取り出した。
『どうしても行くの?』
女の人が悲哀に満ちた顔で訊ねてくる。俺の口が再び勝手に動き出す。
『……ここで行かなければ散っていった戦友たちに顔向けが出来ない。なに、奴らにそう容易くこの首をやるつもりはない。必ず戻って来るさ』
『絶対に帰って来てね……貴方の家はここなんだから』
『ああ。約束を違えたことがないのが密かな自慢なんでね。【紅の守護者】の名に恥じない働きをみせてくるよ』
――再び暗転する視界。
――今度は酒屋か?
木製の丸テーブルがいくつも置いてあり、店内には厳つい男たちが酒を浴びるように飲んでいた。俺はカウンター席で一人ジョッキを傾けており、隣に座っていた麦わら帽子を被った青年の質問を受けていた。
『なあなあ、■■■■■はなんでそんなに強いんだ?』
『さあな……俺もわからん』
『自分のことなのにわからないのか?』
『ああ、自分の事なのに分からないんだ。……なんで俺は強いんだろうな?』
不思議そうに首を傾げる少年に苦笑を浮かべる俺。
『強くあろうとした理由も、今じゃもう思い出せないよ』
――三度目の暗転。
今度はどこかの戦場の様だった。荒れた荒野には黄色い布を巻いた男たちと、どこかの街の兵士と思わしき人たちが剣や槍を手に命の奪い合いをしている。
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