暁 〜小説投稿サイト〜
失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始前
第三話「真祖」
[5/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
玉露が館に戻ってくる。あいつは何かとお前と萌香を毛嫌いしているからな。動くなら早いほうが良い』


 ――玉露? たしか刈愛と心愛の実母だったな……。一度しか会ったことないが、他者を見下したあの目はよく覚えている。


『はい、それにあの娘には地下の“アレ”とは関わりのない人生を送ってほしいですから……』


 ――地下のアレ? なんだかきな臭い話になって来たな。


 一体、何が起きようとしているんだ……?





   †               †               †





「なあ姉さん、ここって母さんから絶対に近づくなって言われていた場所じゃあ……」


「なに、怖いの萌香?」


 姉さんがもう一つプレゼントをくれるというからついて来てみれば、向かった先は地下の【開かずの扉】だった。ここは厳重に施錠されており、母さんから決して近づくなと厳命されていた場所だ。


 姉さんはあっさり鍵をバラバラに破壊して扉を開けると、ランタンを片手に先に進んでしまう。私は置いて行かれないように後に続いた


 螺旋状の石畳の階段を下りながら姉さんが唐突に口を開く。灯りは姉さんのランタンだけなので周囲は薄暗く、どことなく嫌な空気が肌を刺激していた。


「萌香は真祖って知ってる?」


「ああ……諸説は色々あるが、私たちバンパイアの祖先の事だろ? その力を引き継ぐものを真祖というらしいが……」


「そう。でも引き継ぐといっても遺伝じゃない。血液を媒介にしてのみの継承……即ち、真祖の血を吸い尽くして始めて、次の真祖に成ることができるの」


 先を歩く姉さんの顔はここからでは判らない。ただ、どことなく笑っている気配が感じた。


「な、なんで今ここでその話を?」


「……じゃあ、こういうのは知っている? かつてとある真祖がたった一人で人間を滅ぼそうとした。真祖はその身に数多の妖を取りこみ強大な力を手にした。その攻撃はたったの七日で大陸を火の海にしたという」


「だから、その話が一体――」


「彼はやがて倒されちゃうんだけど、その骸がもし、朱染家のこの地下に眠っているとしたら?」


 なにを言っているのか一瞬分からなかった。大陸を火の海に沈めた魔物が、この家の地下にいるだと!? そんな――、


「その話を聞いて私も半信半疑だったけど、これを目にして考えが変わったわ」


 階段を下り先に続く長い廊下を歩くと、開けた空間に出た。そして、そこに鎮座するモノを見てしまう。


「じ……じゃあ、これがその――」


「そう。真祖アルカード。最古のバンパイアの一人と呼ばれた男のなれの果てよ」



[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ