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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
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第三話「真祖」
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俺は崖の上から戦場を見回していた。俺の後ろには鎧を身に付けた兵士たちが各々の武器を片手に静かに待機している。その数は優に三百は超えるだろう。
何か得心がいったのか一つ頷いた俺は後ろを振り返る。この場にいたすべての人たちが俺に注目した。
『諸君、仕事の時間だ。これより我らは黄巾党を殲滅する。策は事前に説明した通りだ、各々の役目を果たすように。俺から降す命令はただ一言――死ぬな』
『『『応ッ!!』』』
傍らに佇む黒髪の女性に声を掛ける。
『雹華』
『はっ!』
セミロングの髪をした一七〇センチほどの女性は踵を揃えて直立姿勢となる。もう少し気を抜けばいいものの、と思ったが俺は口調を変えずに言葉を続けた。
『今から大技を放つ。ある程度敵の数を減らすから、機をみて突入するように』
『御意!』
『さて、天の御遣いの力を見せてやろう。――時は来たれり、我は幾千の雷でもって幾万の敵を討たん。今こそ断罪の鉄槌が降される時! 千の雷!』
掌を上空に掲げると突如雷雲が発生し、空からいくつもの雷が降ってきた。雷はまるで意思を持っているかのように、黄色い布を巻いた者たちにだけ命中する。
『今だ! 神狼団、突入するっ』
雹華と呼ばれた女性の号令により、雄叫びを上げながら兵士たちは駆け出した。
† † †
「…………ん……」
目を開けると、そこは見慣れた部屋だった。カーテンの隙間から覗く朝日が俺の顔を照らし、小鳥のさえずりが鼓膜を優しく叩く。
「ゆめ、か……」
奇妙な夢だった。俺ではない人から見た視点。様々な場所で出会った人や出来事。夢のはずなのに、どこか生々しく、現実味があった。
「……いや、夢は夢だ」
頭を振って気持ちを新たにすると、クローゼットに掛けてある普段着に着替える。時刻は六時、普段より一時間も寝坊してしまった。早いヒトではもうすぐ起きてくるだろう。
――ところで、バンパイアで早起きっというのはどうなんだろう……?
そんなどうでもいいことを考えながら、いつものシャツとズボンに着替えて部屋を出る。
「あ、そういえば今日は萌香の誕生日か」
カレンダーの日付には赤い丸印。今日は萌香の十歳の誕生日だ。
「なにかプレゼントを用意しないとな」
何がいいだろう? 去年は萌香に合いそうな髪留めだったから、今年はもう少し凝った物にするか。
「そうと決まれば、あとで街に出掛けるかな」
人間界に行くのも
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