後日談12 修学旅行(前編)
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俺達はひと足早くホテルに戻り、それぞれの部屋で待機となった。
帰る途中、誰も喋る事無く、静かに俯いていた。皆それぞれ思う事があるのだと思う。
ライはその後深い眠りについた。最初は不味いのでは無いかとクラスみんなで心配したが、寝言で六甲おろしを歌う様子を見て安心したのだった。
「ったく、気持ちよさそうに寝やがって………」
頬をつつくとくすぐったいのか寝返りを打つライ。
「レイ、お茶飲みます?」
「ああ、ありがとう」
俺は今、星達の部屋にいる。
ホテルでは基本3人部屋で、星達は当然いつもの3人。
俺は桐谷と神崎となっている。
本当は基本部屋での待機なのだが、俺は特別に許可を貰い、星達の部屋に居た。
「考えさせられたよ。俺も殺し合いの場面には何度も遭遇してきたけど、何もできずただ死んでいく人の気持ちなんて考えた事が無かった」
「そんな事を考える事なんて普通に生活してればありませんよ。地球でもミッドでも」
「そう思うと今を生きる我等は本当に幸せなのだな………」
「だからこそ精一杯生きよう。俺達家族みんなで」
「ええ………」
「そうだな………」
そう言い合い、俺達は寝ているライを見た。
ライは未だに気持ちよく寝ていた………
「うわぁ、美味しそう!!」
すっかり元気が戻った俺達A組はその夜、バイキングで楽しみながら食事をしていた。
流石立派なホテルだけあって料理も豊富だ。
「ライはもう大丈夫みたいだな」
「ああ、心配かけたな………」
料理を取るのを待つ間、一緒に並んでいた桐谷が話しかけてきた。
桐谷もそうだが、A組のみんなには本当に迷惑をかけたと思う。
「いや、ある意味人生で最高の経験をしたのかもしれない。あの場にいたA組の皆は誰よりも戦争の悲惨さを身に染みただろうな」
桐谷の言う通り、前世も通して、こんなに身近で戦争の悲惨さを感じた事は無かった。
そう思うと今回の出来事は中学生の俺達にとってとても良かった出来事だったのだろう。
「レイ!!チキン美味しいよー!!」
席に戻って既に食べているライが並んでいる俺に向かって叫んでいる。
この食堂は今、俺達聖祥中学の貸切なので問題無いと思うが、流石に恥ずかしい………小学生かお前は。
「戻ってからでいいから静かにしろ!!それに何で沖縄に来て普通のチキン!?ゴーヤチャンプルーとか食べろよ!!」
「あれ、星が一回作ってくれて食べたけど苦くて美味しくない!!」
「ライ、このゴーヤチャンプルーは苦くないですから食べてみて下さい。私も次、作るときは必ず苦くならないようにするために勉強しなくては………」
「夜美!!これも美味しいよ!!」
「やかましいから静かに食べろ!!
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