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ソードアート・オンライン ーBind Heartー
黒と白そして青
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よ」
「そ、そりゃあないだろ? なあ、トーヤ!」
「あー……。すいません、処遇についてはキリトさんに一任してますから……」
「なんだとぉ!?」
この世の終わりか、といった顔で情けない声を出すエギルに申し訳なさそうにトーヤは手を合わせてる。
一方で俺は、そんな店主につれなく背を向けて歩き出そうとした途端に、コートの袖をアスナにぎゅっと掴まれた。
「でも、料理はいいけど、どこでするつもりなのよ?」
「うっ……。と、トーヤ。お前あてはあるか?」
「あ。すいません。俺、よく宿を点々としてるから自由に使えるっていう場所は……」
言いながら視線で俺に同じ質問を飛ばしてくるが、残念ながらこの五十層にある俺の部屋は現在小汚いままで放置されている。そんな場所にKoB副団長様を招待できるはずもない。
アスナは言葉に詰まる俺に呆れたような視線を投げながら、
「どうせ君は部屋にろくな道具もないんでしょ。今回だけ、食材に免じて私の部屋を提供してあげなくもないけど」
とんでもないことをサラリと言った。
台詞の内容を脳が理解するまでのラグで停止する俺を差し置いて、トーヤが歓喜の声をあげる。
「い、いいんですか!? ありがとうございます!」
「いいのよ。こっちは食材をもらうわけだし。あ、自己紹介がまだだったね。血盟騎士団副団長のアスナです。よろしく、えっと……。トーヤ君、でいいかしら?」
「あっ、はい! よろしくお願いします、アスナさん」
早くも≪閃光≫との交流を始めたトーヤに、長髪の護衛役から殺意の込められた睨みが飛ぶ。
それを知ってか知らずか、お互いお辞儀をし終わったところで、アスナは警護のギルドメンバー二人に向き直ると声をかけた。
「今日はここから直接≪セルムブルグ≫まで転移するから、護衛はもういいです。お疲れ様」
その途端、我慢の限界に達したとでも言うように長髪の男が叫んだ。
「ア……アスナ様! こんなスラムに足をお運びになるだけにとどまらず、素性の知れぬ奴を二人もご自宅に伴うなどと、と、とんでもない事です!」
その大仰な台詞に俺は内心辟易とさせられる。≪様≫ときた、こいつも紙一重級の崇拝者なんじゃなかろうか、と思いながら目を向けると、当人もうんざりとした表情である。
「この子のことは知らないけれど、こっちのヒトは、素性はともかく腕だけは確かだわ。多分あなたより十はレベルが上よ、クラディール」
「な、なにを馬鹿な! 私がこんな奴に劣るなどと……!」
男の半分裏返った声が路地に響き渡る。三白眼ぎみの落ち窪んだ眼で俺たちを憎々しげに睨んできた。
「こんなガキなど、見るからに低レベルのプレイヤーではないですか! それに……手前、たしか≪ビーター≫だろ
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