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ソードアート・オンライン ーBind Heartー
黒と白そして青
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いて来た。
「うっす。相変わらず阿漕な商売してるな」
エギルに声をかけると、禿頭の巨漢は振り向きざま、ニンマリと笑った。
「よぉ、キリトか。安くしいれて安く提供するのがウチのモットーなんでね」
悪びれる様子もなくうそぶく。
「後半は疑わしいもんだなぁ。まあいいや、こっちも買収頼む」
「キリトはお得意様だしな。あくどい真似はしませんよ」
「あぁ。残念だけど、アイテムを持ってるのは俺じゃないんだ」
そこでやっと、エギルは俺の後ろで控えていた少年剣士に気づいたらしい。驚いたような顔をして、俺の顔を覗き込んだ。
「こりゃあまた、珍しいこともあったもんだ。お前が誰かとパーティ組んでるなんてな」
「組んでねぇよ。成り行きだ」
ソロプレイヤーである俺は、もともとパーティを組んでの行動を好かない。それはエギルも承知のことだった。
エギルはまたニンマリと笑うと、トーヤに向かって手を伸ばす。
「エギルだ。どうかこれから贔屓に頼むぜ」
「トーヤです。よろしくお願いします」
ニコニコ笑顔のトーヤも頭を下げてエギルと握手を交わす。
イマドキの少年とごついおっさんというこの非対称な組み合わせは、見ていると違和感を覚えざるを得ない。
「気つけろよ。そいつ、さっき見たとおりかなりがめついからな」
「おいおいやめろよ。これからウチの常連になるかもしれねぇってのに」
エギルに肩をバシバシ叩かれて、トーヤは少しよろめく。
なにしろこのぼったくり店主、ただの商人ではなく、攻略組では一流の斧戦士としても前線で活躍しているプレイヤーでもある。重たい戦斧をぶんぶん振り回すあの太い腕で叩かれたら、ダメージにならなくても仰け反りはするだろう。
「で、何を売ってくれるんだ? 掘り出しもんなら大歓迎だぜ」
「あ、はい。これをお願いします」
開いたトレードウインドウを向けられたエギルそれを覗き込むと、その分厚くせり出した眉陵の下の両眼が驚きに丸くなった。
「おいおい、S級のレアアイテムじゃねぇか。≪ラグー・ラビットの肉≫か、オレも現物を見るのは初めてだぜ……。お前、よく手に入れたな」
「いえいえ、ちがいますよ。見つけたのはキリトさんですから、俺の手柄なんかじゃないです」
「律儀なやつだなぁ。にしてもお前ら、せっかくのレア食材なんだから自分で食おうとは思わんのか?」
「そりゃあ、食べたいことは食べたいですけどねぇ……」
「多分もう二度と手に入らんだろうしな……。ただなぁ、こんなレアアイテムを扱えるほど料理スキルを上げてる奴なんてそうそう……」
その時、背後から声を誰かに肩をつつかれた。
「キリト君」
女の声。俺の名前を呼ぶ女性プレイヤーはそれほ
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